僕らの関係 プロローグ きっかけ-15
「ね、こっち見てもう一度言ってよ」
スタイルも容姿も劣る自分。性格も良いとはいえないと自分がよく知っている。それでも彼は自分を選んでくれている。例え妄想の中の、自慰の相手としても。
「ヤダよ。恥ずかしい」
「なんで? 昨日あんなに恥ずかしい思いしたのに、それぐらい平気じゃない?」
「だって、まだ僕もわからないんだもん。由香ちゃんのこと、好きなのに、理由より、エッチなことばっかり……あ……や、だめ……」
俯いたままの彼の膝に手を這わせる。蛇のようにくねりながら内腿にまわり、徐々に獲物へと忍び寄る。
制服のズボンに張りがある。今日もきっと白のブリーフに窮屈にしまっているはず。
「なんで泣いちゃったの?」
「それは、由香ちゃんに見られたくなかったから。僕のエッチなところ」
「誰だってエッチなところはあるよ。それに私だって……たまにしちゃうし」
本当は由香に自慰経験がない。彼を意識するようになってから身体に疼きを覚えることも多くなったが、それでも一人自分を慰める事が怖かった。
まやかしの幸せに溺れていては、ただでさえ二人に遅れをとっている自分がさらに遠くなってしまう。そんな気持ちから、自分を慰めることを拒んできた。
由香はズボンのチャックを下ろし、指を差し入れる。二度目となると恥らう気持ちも若干薄れ、強引にそれを引きずりだしてしまう。
「由香ちゃんのエッチ……」
しかし、幸太は拒まなかった。
「これからは私が幸太ちゃんのお世話する。ダメ?」
人差し指と親指で輪っかをつくり、先端の包皮を掴む。
「そう……いう、問題……じゃ、ない……っ……よ」
家事全般を行う彼女の手は同年代の女子に比べて、やや荒れが目立つ。
「勝手に妄想されてオナニーされるの……キモチワルイな」
自分が他の二人に誇れる唯一のアドバンテージ。
「だからさ、幸太ちゃんがしなくてもいいように、放課後は私と……ね?」
さらに距離を詰めたい。このまま既成事実を作ってしまえば、彼に自分だけを見てもらえる。そんな打算があってのこと。
「うん。お願い」
「それじゃ、始めるよ」
包皮が捲れると、赤味がかった亀頭の一部が露出する。幸太に痛痒い刺激が訪れ、快感に息を漏らす。由香はそのまま捲ってよいものなのかと悩むが、鈴口から溢れる淫水に滑り、そのままずるりと剥いてしまう。
「いうっ! ……あ、やぁ……」
「だ、大丈夫? 痛い?」
甲高い悲鳴に由香は何か手順を間違えたのかと不安になる。しかし、唇の端を噛む彼は痛みというよりは別の何かに震えているように見える。
幸太の手が由香の手を拒むので、ひとまず手を離す。幸太は荒く深呼吸を繰り返すと、ようやく唇を噛むのをやめ、彼女に向き直る。