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僕らの関係 プロローグ きっかけ
【学園物 官能小説】

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僕らの関係 プロローグ きっかけ-14

「そう……、そうなんだ。幸太ちゃん……私でエッチなことしてるんだ」

 残り香から自身のあられもない姿を妄想され、欲望の矛先を向けられた。スタイルはそこそこ、容姿も十人並み。そんな自分が男の欲望の対象にされた。それはつまり……。

「幸太ちゃん、三人の中で私を選んだんだ。私って里奈みたく可愛くないし、恵みたいにスタイル良くないよ。なのに、どうして?」

「可愛くないなんて、そんなこと無いよ。由香ちゃんは美人だよ」

 顔を伏せていた幸太は起き上がり、口早に捲し立てる。その頬は明らかに朱に染まっており、徐々に耳にまで広がる。

「だからしたの? 綺麗な人みると、しちゃうの?」

 由香はサディスティックな質問をしながらも、続く答えの予想をつけていた。そして、それをしっかりと言葉で押さえたかった。

「違うよ。僕、由香ちゃんのこと好きだから、だからしちゃったんだ。……最低だよね、好きな子でエッチな妄想するなんてさ」

 友達として接してきたハズの彼が、自分を異性として意識している。
 自分は幸太をどう見てきたか?
 二人のいじめっ子から守ってあげること。この子には私が必要。
 最初はそんな親心のようなものだった。
 なのに、いつのころからか、彼は上手に立ち回るようになっていた。
 家事の不得意な恵にお弁当の世話をして、甘えん坊な里奈の勉強を見てあげて、たまにイジメられることもあるけど、それでもスキンシップの範囲。
 男らしくとは違うベクトルだが、彼が成長すれば自分の存在価値も薄れていく。
 幸太離れをするべきと思いつつ、無邪気に二人にいびられる彼を見ていると胸が痛む。
 幸太ちゃんは私のモノ。
 おかしな親心が拗れ、歪な愛情に変わっていたのを知ったのは夏休みの頃。
 何度電話しても出ないの彼に訳を聞いたところ、里奈の課題を手伝っていたとのこと。その時は「あまり里奈を甘やかさないように」ときつく言ってしまったが、その時、初めて嫉妬している自分に気付いた。

 そんな彼からして、自分に女として見られるところなどあるのだろうか?

 料理や掃除、洗濯、被服と旧時代の良妻としてのスキルを身につける彼。しかも、腹立たしいことに、料理の腕前は明らかに由香を越えている。

 女性としての体躯はどうだろう?

 胸は里奈より成長しているものの、恵の充分に膨れたそれと比べれば、自分のは鏡餅程度。ふざけて触りあったときにそう確信した。

 お尻のハリもスポーツを得意とする彼女と比べると、柔らかいというより垂れているように思える。太腿の太さも足首の太さも、全てコンプレックスにしてくれる友人が恨めしい。

 顔はというと、優しい目をしているといわれても、愛らしい目をしているといわれる里奈が羨ましい。可愛らしいリボンで髪を二つに結う彼女を内心バカみたいと思いつつ、ひそかに憧れていた。それもクセの強い髪質のせいで出来そうに無い。ストレートパーマを当てればと思うも、お小遣いの額も知れている。

 生まれ持ったものと諦めつつも、そのくらい気持ちが自身を引っ込み思案にさせ、唯一勝負できるものとして優しさを装う毎日。しかし、それは本当の自分じゃない。

 つまり、その好きは偽りの自分に向けられたもの……。


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