密心〜かのきみの〜-4
「ぁあ…はぁ!やぁ!んあ…」
――私のこのいやしい気持ちに
蔵ノ介さまが気づくか気づかぬか……一体どちらがましか
いっそこの手が裂ければいい
そうすれば二度と誰かにすがろうなど思わなくなろう
浮かれていた自分が愚かでたまらない
醜くてもかまわない
かのさまのようと言われた働き者といわれた手がもう一度欲しい
ちがう……
――かのさまになりたくてたまらない
蔵ノ介さまに求めらる存在になりたくてたまらない
蔵ノ介さまの首にすがりながらただ喘ぎ思った
――そんな醜い私のこの手なぞ裂けてしまえばいい
裂けてしまえばいいのに