『あたしのビョーキ』-3
可愛らしい里奈はセフレにしよう。コウは処女をいただけば一途につくしてくれそうだし、乱暴にしても「愛しているから」といえば誤魔化せそうだ。
でも、由香はどうだろう。いつもは控えめな彼女だけど、たまにしつこく食い下がるときがある。もしかしたらあたしの知らない一面があるのかもしれない。となると、結婚前提じゃないとセックスさせてくれないかもしれない。
「どしたの、ケイチン? エロイ顔して……」
頭空っぽなわりに妙に勘が鋭い里奈は、たまに顔色と一緒に思考を読み取ってくる。
「なんだよ、エロイ顔って……、エビ、もーらい!」
「あ、ケイチンのドロボー!」
エビの尻尾まで頬張るあたしに里奈が飛びついてくる。彼女の釣りあがった猫目と、端に笑みの浮かんだ桜色の唇はやはり可愛らしい。やれやれ、これじゃ二度美味しいよ。
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「声出していこー」
「おー! ……ファイッ! オー!」
四〇〇メートルトラック五周をきっかり十分かけてゴールする。ペース配分を知るためのトレーニングらしく、強豪校のわりに選手層の薄い我が西河内中では、伝統的に取り入れられていた。
ちなみになんで選手層が薄いかというと、顧問の厳しい指導についていけず、バレーやテニスに流れてしまうから。
日々筋肉痛に悩まされるし、アレの重い子なんか見てて気の毒になる。激しい運動のあとはごはんだって美味しくないし、休日も試合だ応援だで、結局バスケ漬けになる。
あたしががんばれる理由は、得意のスリーポイントシュートが決まったときの爽快感。
相手のディフェンスをものともせず、長身を活かしてゴールを狙う。特にリングにぶつかることなく、気の抜けたファサって音のあとに続く味方ベンチの歓声を聞くと、俄然やる気が出る。
実は他にも一つ、邪な気持ちがあったりもする。 だってさ……ねえ? 考えてもみなよ。バスケってさ……女の子同士、身体がぶつかるんだぜ?
もちろん、あたしも真面目に取り組んでるよ。
小学校のとき、友達に誘われてから今日までの六年間、下心やら煩悩だけでこなしたわけじゃない。というか、それで出来るほどスポーツは甘くない。でも、周りの子の甘い体臭を嗅いでいると、不純な気持ちになるときがある。
今年の一年の子は石鹸の匂いをさせてて幼い感じが可愛いし、ちょっと生意気な同級生の子はふろーらるっていうのかな? 高そうなシャンプーを臭わせてかなり背伸びした感じでエロイ。
練習のときは「恵は三年にたいしても臆面なくぶつかっていく」なんて言われるけど、本当は憧れの先輩にヤンチャなことをしたいから。
あたしはそれで自慰をしたことがある。
初めてしたのは中学一年の冬だ。憧れの先輩である日野さんが初体験をしたとの話を聞いて、一人部屋でいじけていた。
足を閉じていても自然とまたに手が行ってしまう。最初それがどういうことかわからなかったけど、身体の奥が疼くことで、それを擦っていくうちにわかった。
日野先輩を架空のチ○コでガンガン犯すという低俗な妄想を浮かべ、人差し指に活躍してもらった。それはとても気持ちよかったし、痙攣を伴う刺激をけることでなんとかすっきりした。けど、そのあとで少し泣いた。
その先輩たちもこの前の中総体でラスト。しばらくは練習に付き合ってくれるけど、夏休み前には引退する予定。切なくなるよ。ホント……。