『あたしのビョーキ』-20
「ほーら、瑠璃、怒るよ……って……」
焦らしていたと思った瑠璃は、クッションを抱いて震えていた。しかもすすり泣く声つきで。
一体どうしたのさ? あたしなんか変なことした? あ、いや、してたけど、それって合意じゃん。
「やっぱりヤダ……」
「な、そんなこと、今更……」
「だって、女同士で……」
「そうだけど、瑠璃はあたしのこと……」
「好きです」
「なら……!」
あたしは何とか宥めようと肩に触ろうとすると、びくっと震えて拒絶の意思を表す。
「でも、先輩は? 先輩、あたしのこと好きっていってない」
「好きだよ」
なんだか後付の好意で卑怯だな。でも、瑠璃だってずるいよ。ここまでされたら……。
「先輩……ごめんなさい」
瑠璃はあたしに背を向けたまま、タオルケットを羽織る。
「いいよ。あたしこそゴメン。これじゃただやりたいだけじゃんね」
そう言いつつも、未練がましいあたしは彼女の筋張った肩甲骨にキスをする。
「ごめんなさい」
瑠璃はそのキスだけは受け入れてくれる。けど、綺麗な割れ目と水着の跡を見せられると、ムラムラする。つか、もうどうにでもなれ。あたしは瑠璃をレイ……。
「……先輩のこと、信じてますから」
ズルイ子だよ。ほんと。でも、そういうの、強くなれると思うよ。バスケでも、恋でもさ。
***―――***―――***
日が沈む頃まで一緒に寝た。文字通りの意味で。ちくっとした痛みを感じたけど、練習の疲れが出たのか、起き上がる気になれなかった。んで、次に気付いたときには瑠璃がいなくなってた。机にごめんなさいっていう書置き残して。
ファール五つ目は何とか回避したものの、肝心の相手が退場じゃしょうがないよ。
寝汗をかいたけど洗い流したくない。だからそのまま服を着て外にでた。でも、身体から漂う淫靡な香りは自分でも分かる。だからかな、人気のない公園に来てしまった。
んで、おきまりのブランコに揺れて寂しい女の子を演じてみる。けれど自慢の高身長が健気さをぶち壊す。里奈とか由香なら絵になるのにな。
「また一人?」
またあの人が来た。なんつうか、ここ以外に行くところないのかよ。