『あたしのビョーキ』-10
「んちゅ、はちゅ……ぬふう……はむ……」
そうなると、あとは夢中で貪るだけ。
芳江のピンクの唇をこれでもかというくらい吸いつけ、腫れあがるくらい唇を重ねた。
唾液が絡み、じゅぶじゅぶと音を立てる。けれど、足りない。注ぎ込んでも、吸い出しても、一向に喉が渇いて止まない。なのに、下半身は汗とは別の湿り気に不快感を訴える。
芳江も同じだよね? なら、もういいよね……。
「んくぅ……、け……い? やだ、しちゃうの? 私、そんなことまで……」
人差し指が薄い陰毛に触れたと同時に、芳江は不安の声を上げる。
「恵はいいの? やじゃない? 女の子同士でこんなことして」
そう、そこだ。あたしが一番困っているのは。
誰を好きはいいとしても、それ以上には待ったがかかる。
世間一般では同性愛は忌避されがち。たとえ脳の構造が判明されたとか、性同一性障害なんて小難しい名前を出されても、友人の目がそれを語ってくれた。
女の子同士でそういうことしないよ?
十年来の友人ですらわかってくれそうに無いこの気持ちを、今日あったばかりの誰と共有できるって言うのさ?
でも芳江は違う。だって自分から誘ってきたんだ。こいつもレズ子なんだ。だから、わかってくれる。いや、わかっているんだ。
「……あたしは芳江のこと、気持ち良くさせてみたいな」
優しい笑顔ってどうするんだろう。少し困ったようにしながら、目を細める感じ?
んで、鼻で人を小ばかにした感じのため息をつくのが、この前見た月九のドラマのイケメン俳優の演技。どれだけ似せられたか知らないけど、目の前の子はかなりうっとりした様子であたしを見てる。こりゃ落ちたね。あたしの魅力にさ。
「ん、あ、や、入ってきちゃう。待って、まだ早い……てば、も、う、恵の……イジ、わるん!」
待ってられるかよ。いつ人が来るかわからない場所でこんなことしてさ。あたしらの雰囲気ってのでモロバレでしょ? エッチしてるってさ!
それに見たいんだってば、芳江にアヘ顔。
試合中、全てを見通してますよっていう済ました顔しておきながら、ちゃっかりあたしを誘うエロ女。つか、それに騙されるあたしもあたしだけど、されっぱなしってやじゃん? 一矢報いるいっていうか、イカせてみたい!
人差し指に彼女の割れ目に潜り込む。まだ濡れてない。ツバぐらいつけてあげればよかったかも。でも、温かい。自分のもそうだけど、やっぱり人の中って表面よりずっと温かいんだ。
人差し指に続いて中指も入れる。乾いていた彼女の膣が徐々に汗ばみ始め、奥からトロトロと蜜が零れ始める。
軟膏を塗るように丁寧に膣奥を撫でる。指に絡みつくもので充分にすべり、凹凸の激しい彼女の奥を撫でるたびに歓喜の声が上がる。
「ん、んあ、あふぅ……や、ダメ、恵ってば、早すぎ……」
ロッカーに寄りかかっていた彼女はあたしの肩に掴まり、片方の足で壁を蹴る。オイタをされては外に音が聞こえてしまうと、その脚を抱えておく。