憂と聖と過去と未来 1-5
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その日の夜、あたしはベッドの上で頭を抱えていた。
あたしが今日思ったこと。
それは、聖をあたしが縛り付けているということ。
聖は無愛想だけど背も高くて顔もかっこいいと思う。
もしかしたら佐山さんのように、聖のことがずっと好きだって人が沢山いるかもしれない。
でも、聖はあたしといつも一緒にいるせいで恋愛ができていない。
これは完全にあたしの問題だ。
別にあたしと聖が恋人同士じゃなくても、この関係は変わらないんじゃないか。
そんな考えが頭の片隅から離れない。
だから、あたしはとっさにイエスで答えてしまった。
ずっと聖のことを考えていたこともあったせいか、なんとなく聖に電話をかけてみた。
同じマンションに住んでるんだから、ちょっと会えばいいのだけど、なんだか今日は顔が見れないと思う。
『………どした』
『あ…ごめん、寝てた？』
聖はよく寝る。今も寝ていたのか、取るのも遅くて声も眠そうだ。
『…憂、なにかあったか？』
『…え？』
体が激しく動揺で震えた。
さすがは幼なじみ。
あたしも同じように、聖のちょっとした声の変化で気持ちを読むことができる。
『なにかあっただろ？』
『…んーん、大したことじゃないから大丈夫』
『…そうか、無理はするなよ』
『ありがとう』
『ん…それで、用件は？』
『あ…なにもない』
『……お前な』
『ごめんごめん』
『…じゃあまた明日』
『うん、おやすみ』
あたしはつい苦笑いしてしまった。
本当になんとなく電話してしまっただけだから。
でも、電話を切って、ようやく決心した。
明日、聖に言おう。
例え佐山さんと聖が付き合うことになっても、あたしと聖の関係は変わらない。