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憂と聖と過去と未来
【幼馴染 恋愛小説】

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憂と聖と過去と未来 1-3

***

その日はまず始業式を行い、その後教室で簡単な自己紹介とホームルームを終えて下校となった。

聖を待たせているだろうし、急がなきゃ。
そう思っていたが、帰り際、一人の女子から声をかけられた。
「柊さん」
「…あ、佐山さん」
彼女は佐山怜(さやまれい)といって、一年のときもクラスメイトだった。
三年になって再びクラスメイトになったが、一年のときはあまり話した記憶はない。
理由はおそらくグループが違っていたからだと思う。
中学や高校になると、無意識にグループというものが出来上がる。

佐山さんは大人しくて控えめな子。顔立ちは整っていて眼鏡をかけていて、ショートカット。
清楚な感じもするので、隠れファンが多数いることも噂で耳にした。
「他に知ってる人がいなくて…柊さん、またよろしくね」
「うん!よろしく」
にこやかに微笑んだ佐山さんは同じ女ながら綺麗だと思った。
「…柊さんは篠原くんと帰るの?」
あ、やっぱり大人しい佐山さんでもあたしと聖の仲は知ってるんだ。

勝手な話だが、佐山さんはこういう話に無頓着だと思っていた。

「うん、もうこれが当たり前になっちゃって」
「…そう、じゃあまた明日」
「うん!また明日ね」

あたしはそう言うと、鞄を持って急いで教室を出た。

「あ、聖」
「……遅いぞ」
聖は既に教室の前で待ってくれていた。
「ごめんごめん、クラスの子と話しててさ」
「…相変わらず友達作るの早いな」
「一年のときも一緒だった子だから…って、聖は興味ないか」
「…そうだな」
「うん、じゃあ帰ろう」
「…憂」
「ん?」
「…今日は昼で終わりだし飯でも行くか?」
「え、聖から誘ってくるなんて珍しいじゃん!奢り?」
「……バカかお前は」
「あはは」



まだこのときは、気付かなかった。


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