憂と聖と過去と未来 1-2
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校門を抜けた先は、既に大勢の生徒で賑わっていた。
今年度のクラス分けが張り出されているのだ。
「うわ…あたしちょっと見てくるね」
「…ああ」
この人混みだし、背の高い聖に見に行ってもらおうと思ったが、聖はあまりクラス分けに興味を示してなかったのでここはあたしが見に行くことにした。
人の間を縫うように進むと、ようやく掲示板にたどり着いた。
一組には二人の名前がなかった。
続いて二組の名前を見る。
「……聖は、二組」
二組には聖の名前があった。
「あ…」
あたしの名前はない。
三年は受験を控えていることもあり、志望した進路によってクラスが違うのはわかっていたのだが、実際にクラスが違うことを知るとなんだか寂しくなった。
聖はとりあえず大学に行くと言ってたけど、あたしは看護士になりたいのでその類の専門学校を志望しているのだ。
結局、あたしは四組だというのを確認して聖の元へ戻った。
「聖は二組、あたしは四組だった」
「……残念だな」
聖がボソッと呟いた。
「うん」
聖もやっぱり一緒のクラスがよかったのかと思い、あたしは少しうれしくなった。
「……憂」
あたしが四組の教室に入ろうとしたとき、聖が声をかけてきた。
聖の方から声をかけてくるのは、極まれにしかない。
「なに?」
「今日も…いや…これからも毎日一緒に帰ろう」
そう言って、普段表情を変えない聖がめずらしく微笑んだ。
「…うん!」
すごくドキドキした。
やっぱり聖は聖なんだ。