丸をつける-3
『あぁ…』
待っててやる
お前がいつか会ったとき俺を望んでなくても……待っててやる
待っててやるから行ってこい
初めて柴咲の卒業を祝える気になった
行ってこい
頼まれなくても待っててやるから
……行ってこい
俺から私に一人称が変わるほど年を経ながら、本気になった相手には意外と一途になれるのだとはじめの数年でわかった。
柴咲がよくやっていると聞く度に溢れそうに嬉しいと思えた。
あの子はそんなに立派にやっているのか、と。
数年後の同窓会のハガキに迷うことなく参加に丸をした。
待っているかも会えるかもわからない、本気の相手に会うために
今なら教師だろうと、教え子に手を出そうと、……何も、起こらずとも……すべてが許され許せる気がしながら
教職で手慣れた丸を、未来につけた