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婚外恋愛
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婚外恋愛-2

正弘は自称S 確かに趣向はそうなのだろうが、彼も私には優しすぎる。
多少強引なところはあるが、私の本意を見抜けずに口先で拒否する私の意向を優先する。
私に嫌われたくないという遠慮が、私をつけ上がらせる。
そして、従いたいのに従わせてくれない物足りなさを感じる。
恋することを求める男は(当然女も)精神的老いを感じない。
克明とは正比例に八つ年上の正弘は今年56になろうとしている。
大人の男に私は何を求めているのだろうか。私は年上の人しか関心を持てなかった。
落ち着き、温厚さ、余裕、尊敬、信頼、包容力・・・・。
正弘は確かに経験から来る知識やしぐさにも大人を感じる部分もある。
・・・もある。ということは、そうでない部分もあるということだ。
往々にして男は女の前では子供になる。それがまた愛しさであることに違いない。
ただ、求めているものを満たされるかというと、私の大人の男願望は満たされないでいる。

正弘の妻もまたわがままが尋常でないと云う。専業主婦ながら気分で家事を放棄する。
平安な日常ですら片付け洗い物は正弘のあてがい家事だと云う。
洗濯も掃除も彼がする。今では高校生と成長した一人息子すら、赤ん坊の時から
夜中のミルク、オムツ替え、当然風呂も彼の仕事だったという。
自称Sも完全に妻の前では奉仕に徹底しているのだ。

「奥さんのご機嫌はいかが?」と会うたびに問うと、ワイシャツの袖をめくり
「相変わらずだよ。ほら、この間も引っ掻かれた」とあちこちの傷跡を見せながら苦笑いする。
ヒステリの対象は主に一人息子への過度の期待と干渉なのだが、それを制する彼が被害者となるということだ。
「よく我慢ができるわね。」
とあきれて云ってしまうが、離婚する離婚するとわめき散らすのは妻のほうで
彼はひたすら我慢だそうだ。息子のため平安だけを望んでいるという。
彼の甲斐性をなじり、彼の学歴をなじり(決して悪くないのだが、良くないことに妻の方がいい大学らしい)
尊厳を踏みにじられることによって妻に対して不能になってしまったことが、さらに妻を逆上させた。
病気としか言いようのない妻の精神状態を私は気の毒に思う。
一方的な彼からの話だとしても、女の幸せをもっと賢く受け入れられないものかと残念に思う。

正弘は整った顔立ちをしていると思う。好みというわけでなく一般的に見て品のある面立ちだ。
体型も若い頃と変わりないという。無駄な贅肉はなく、仕事柄体力もある。
私は特に、細身の体なのにがっしりとした彼の太ももが好きだ。見た目より強い腕力も。
ベッドで押さえつけられる時の彼の荒さにSを感じる。普段は軟弱そうなインテリのギャップもいい。

「私たちのことがバレタラどうする?」
私はどうして欲しい訳でもなく、ゲームのように聞き出す。
「恵のご主人がどうするかによるけど・・・いらないというなら もらう」
十分、私の好奇心を満たす答えだった。
それが愛を確かめることだったのか、本気を探るものだったのか
そんな質問を彼はどう感じたのか。何もわからない。
だけど私は満たされた気がした。
実際、そんなことになっても彼のもとには行かない。それは確かだけども。

女というものはいかに強かなのだろう。私だけだろうか。
愛されたい、本気が欲しい、だけど 求めている自分が愛しいだけであって
何一つ、本当に求めているわけではない。
むしろ、愛されすぎると面倒で、本気になられると迷惑に違いない。
だけど、その寸前まで求め続ける。

克明も正弘も、私に必要であって、しかし私を満たすことはない。
満たされることを期待などしない。
いや、ただ臆病なだけだということも自覚している。


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