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ある季節の物語
【SM 官能小説】

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ある季節の物語(冬)-1

 …ほんとに、ケイコと会うの久しぶりよね…

 …えっ、アキヒコどうしてるかって…ええ、すごく優しくしてくれるわ…ベッドの中って…
 いやだ、そんなんじゃないわよ…



音もなく粉雪が舞う冬の日の公園のカフェだった。エスプレッソの濃い苦みが、私の舌を心地よ
く刺激する。
 

 …ケイコ、まだ独身なんだ…でも、ケイコって美人だし、きっと理想が高いのよ…



私は知っていた…ケイコが私の夫のアキヒコに、昔から心を寄せていたことを…。

私とケイコは高校時代からの仲の良い同級生だった。そして野球部のエースだったアキヒコに、
ケイコが密かに淡い恋心を抱き始めたのに気づいたのもあの頃だったように思う。

 

 なぜだろう…


あの頃…私は、ほかにも何人かつき合っていた男友達がいた。ほんとはアキヒコが特別に好き
だと言うわけではなかった。


 でも… 


私はケイコを意識しながら、大胆にアキヒコを誘った。

野球部の部室の陰にケイコがいることを知っていて、その部屋でアキヒコと二人きりになった
あの日…私は彼にキスを求めた。


そして戸惑うアキヒコに、私は唇を寄せ、体を押しつける。

アキヒコの手が微かに震えながら、セーラー服の上から私の胸に触れた。そしてもう片方の彼の
手を、私は自分のスカートの中の股間に導く…。




どちらかというと奥手でおとなしいケイコが、徐々にアキヒコが私とつき合い始めたのをあの頃
どう思っていたのかはわからない。



 それなのに…



あの頃からずっと私の心のどこかで、ケイコが嫉妬に襲われ、悩み苦しむことを楽しんでいたの
かもしれない。



そして大学時代には、あの冬山のペンションで、私はケイコが隣の部屋にいることを知っていな
がらアキヒコに抱かれ、喘ぎ声をあげた。


私はいつもケイコの嫉妬に満ちた視線を、快感のように背中に浴びていたのだ。



そして、私はアキヒコと結婚した。あのチャペルの前庭で、私はケイコの前でアキヒコからの愛
の誓いと接吻を受けたのだった。

私の背中に注がれるケイコの氷のような視線…それは、確かに私に対する嫉妬と憎悪にまみれた
視線だったかもしれない。その視線が私の体にくすぐるような疼きを与えていた。


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