ある季節の物語(冬)-6
…裕美か…すまないけど今夜は、仕事が長引いて帰れそうもないよ…
…あなた、ちょっと変なことを聞いてもいい…あなたって、女の人を縛って苛める趣味ってあ
るわよね…
…なんだって…冗談はやめてくれよ…オレにそんな変態みたいな趣味なんてないよ…と、
アキヒコの笑いとばす声が電話の先から響く。
私の体の中に、甘く脈打つ淫靡な性欲のわだかまりを嘲笑うようなケイコの顔が、ふと私の脳裏
をよぎっていった。