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憂と聖と過去と未来
【幼馴染 恋愛小説】

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憂と聖と過去と未来 prologue-1

毎日が憂鬱だ。


今日と明日は、年に一度行われる大学の学園祭。

在学中の生徒にとって、それは長い大学生活の中で一番楽しむことができ、思い出を作れるであろうイベントである。

勿論、それはあたしも例外ではなかったのだが、最近は特に昔のことを思い出すことが多くなっていたために、この長い時間はとてつもなく億劫だった。

あたしは楽しそうに笑う生徒や一般客を、屋外に設置されたテーブルに肘をついて眺めている。

もちろん同じゼミの友人やサークルの仲間には一緒に回ろうと誘われたけど、あたしはどうしてもそんな気にはなれなかった。



あたしの人生は、つい数年前までそれなりに充実していたと思う。


毎日学校に行って、帰って、また次の日同じように学校に行って。

そんな単調な日々ではあったけど、時々遊んで、時々勉強して、時々恋をして。
そんな生活は間違いなく充実していたと胸を張って言える。



でも、そんなささやかな幸せの日々など、小さな過ち、小さな綻びから、一気に崩壊を迎えるのだ。

あのとき、あたしが自分の意思を貫いていれば。
あのとき、あたしが異変に気付いていれば。
あのとき、あたしが彼に気持ちを告げていれば。

こんなことにはならなかったのかもしれない。


ある事件を境に、あたしの心は傷を負った。

そう、それは包丁で腹部を貫いたような、そんな傷。



毎日が憂鬱だ。


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