見返りは君でイタダキマス〜second(後編)〜-2
「私もう楓のこと弟みたいとか世話やいてるなんて思えない」
「楓は…もう誰に何言われたって私のいちばん好きな人なんだって」
「ソレは……嘘なんてつけないよ。ねえ言わせて、楓は私のだって言わせて。………もう弟じゃない、ただの生徒じゃない………私たち…恋人、でしょう?」
「私の為に嘘なんてつかないで……」
握られた手は暖かくて湿っていた。
大人に近づくために、骨ばってきた手はもう肌にしっとりと馴染む。
泣きそう……
お願いだから
私だってお願いだから、言わせて
「ミーカ、やっぱ電車で帰りなよ」
ふいに聞こえたナオの声でハッとした。
途端に恥ずかしくなってうつむいたけど…
あぁ…アツくなりすぎて、ナオをすっかり忘れてた
「あのね、ナオ…!」
「いえいえ、ちゃあんと聞いてましたもの」
おどけた調子のナオが不意討ちでマジメに言った
「……楓クン、ミカ大事にしてやってね」
そう言われた瞬間バカになったみたいに涙腺が壊れてしまった
認められた気がしたから
まっすぐに頷く楓をみたらなおさら
泣けて仕方ない
――私はずっと不安だったのかもしれない
こんなに私を思ってくれる人がいるなんて
―――まるでゆめのようで
疑ってたわけじゃない
でも信じられなかった
だけどナオと楓のやり取りで安心できた
ゆめじゃない
ゆめなんかじゃない
楓は、確かに私を思ってくれてるんだ
まだ肌寒い外の駐車場で冷えたのか、涙と掴まれる腕だけはやけに熱く感じた
ナオを見送って、暗がりのなかを二人で手を繋ぎながら駅まで歩いた。