崩壊〜執心〜-6
「キレイ…です」
思わず口を付いた言葉。仁志自身、女性の乳房を見るのは初めてなのに、その神秘的ともいえる膨らみに美しささえ感じていた。
「ありがとう…」
涼子は頬を染めていた。仁志の言葉に対する喜びだけでなく、ギラついた息子の目に見られているという事実に、感じ易くなった身体が反応したのだ。
さざ波のようにわずかだった肉欲への思いは、徐々に激しさを増して、自分でもコントロールが効かなくなりつつあった。
彼女は、唇を噛んで漏れそうになる悦びの声を必死に殺していた。
「最後の、脱がせますね…」
仁志の両手が腰骨に掛かるショーツの中に入った。
「…うっ…」
涼子の口から小さな喘ぎが漏れる。
親指の股にショーツを引掛かけると、徐々に下へと降ろした。
ヒザまで脱がされたショーツが床下に落ちた。涼子は仁志の面前に自分の一糸纏わぬ姿を露にした。
仁志の目が舐めるように涼子の裸体を見つめる。
小ぶりながら、ほどよく肉の付いた乳房。くびれたウエスト。秘部を覆う薄い恥毛。それらが相まって、形容しがたい美しさと淫靡さを醸し出していた。
自分を見つめるギラついた息子の目。そして、赤く腫れ上がり先汁に濡れたペ〇ス。
それらを見た涼子の目は、その先にある許されざる快感を渇望していた。
しかし、
「…じゃあ、服は洗濯機で洗っておくから」
涼子はそう言うと、床に散らばる濡れた服を両手に持った。
「…涼子さん」
「今から洗えばさ、2時間くらいで乾いちゃうから。お風呂に入ってる間に、ごはん用意しとくからね」
そそくさと風呂場を出る涼子。残された仁志は、拍子抜けした思いでその場に佇んだ。
風呂場を出た涼子は大きく息を吐いた。濡れた身体をバスタオルで拭いながら、指で秘部に触れた。
指先に粘液が絡み付いていた。
1度は覚悟した息子との交わり。が、涼子は思い止まった。
人として踏み越えてはならない禁忌という認識。それに、真実を告げずに事を成すことに後ろめたさを感じた。
(私は何を考えてるの…自分のことだけを考えて…)
涼子は気持ちを持ち直し、濡れた衣服を洗濯機に入れると裸で寝室に向かった。
「しょうがない。身体を洗うか…」
意外な幕切れに納得出来ない仁志だった。気持ちではムリヤリにでも涼子とセックスしたいと思ったが、あの様に上手くかわされたのではどうしようもない。
諦めてイスに腰掛けると、スポンジを石鹸で泡立てて身体にこすりつける。