マッドな彼女with俺4-4
――放課後――
「で、星奏はどんな女なのかしら?」
今日は教室を出てすぐに香澄と会ったので珍しく一緒に靴箱へと向かっていたのだが、いきなり香澄がそう言ってきやがった。
「え?
う、うーん、そーだな…なんて言うか、凄い天然だな。
まぁだけど悪い娘じゃなさそうだし、仲良くやっていけそうかな」
「ふーん」
「な、なんだよ、その目は」
「別に。
ただ、これからは今まで以上に手綱をきつく締める必要があると思っただけよ」
ふふっと香澄が不適な笑みを浮かべる。
今まで以上って…俺たぶん死ぬぞ…
「ん?」
ふと校舎脇の方へ目をやると星さんと複数の男子生徒が何やら話している。
って、あいつら星さんを無理矢理捕まえてどっか連れて行ってるぞ!
おいおい、あれはヤバいだろ!
な、何とかしないと…!
「…なに駿八?どうかしたの?」
「いや、えーと、あの…実は教室に忘れ物したのを思い出して……悪いけど、先に帰っててくれねぇかな?」
「忘れ物?
はぁ…ほんとドジなんだから……分かったわ。先に行ってるわね」
「すまん香澄!すぐに追いつくから!」
そう言うやいなや俺は星さんが連れられた方に走って行った。
あいつら、確か3年の不良共だったな…急がねば!
校舎脇を通って運動場の端にある体育倉庫へさしかかった時、その中から女の子の声が。
あれは…星さんの声!
何の躊躇もなく俺は体育倉庫の扉を開けた。
むわっ…と埃っぽい空気と無駄に広いじめじめとした空間が広がる。
「星さん!」
間一髪と言ったところか。
数人の不良が星さんの服に手をかけていたところだった。
「さ、なだ…くん?」
震える声で、涙を流している星さんを見て、怒りが沸々と湧き出てきた。