Letters 〜空への手紙〜-1
優くんと伶ちゃんに。
最初のドライブデート。
私と優くんと中にいる
伶ちゃん。
6月の終わり。
雲ひとつない青空で
窓の外で虹が見えた。
雨上がりの空が優くんは
とても好きで、
あの時、初めて中の伶ちゃんが
お腹を蹴ったんだ。
きっと、優くんと一緒で
優しくて、笑顔の素敵な子に
なるんだろうなと思った。
海に着いて、私が作った
サンドイッチにキュウリが
入ってて、除けて食べてて
また、中の伶ちゃんが
お腹を蹴ってた。
きっと、優くんが好き嫌いを
するから怒ったんだよ。
帰りに、中の伶ちゃんが
産まれてきたら、一番最初に
この海に連れて行こうって
約束したね。
伶ちゃんも嬉しいそうに
私のお腹を蹴ったんだ。
帰りの車の中でものすごい
音と衝撃が体を駆け抜けた。
目が覚めたら、2人は
居なくなってた。
優くん、ちゃんと伶ちゃん
守ってあげてね。
伶ちゃん、待っててね。
いつかは会えるから。
2人のいない世界は
モノクロみたいに
色がないんだ。
寂しいけど、私は
まだ、ここに居なくちゃ
いけないみたいだから、
まだ、そっちには行けないけど
必ず行くから、お迎えよろしくね。
花より
火葬場の外の煙突から
煙が出ていた。
優くんと一緒に入れた
あの手紙は、届いたのかなと
空へと向かう煙を見つめていた。
“ありがとう。安心して”
ふと、そんな声が聞こえた。
手紙は思ったより早く届いたみたいだ。