王子様と私 2-6
「ッ……ん……待って……ください」
「待つとなにか変わるのか?」
「……そうじゃ、なくて…や、だから……!」
自由な彼が、止めてくれるはずもない。
完全に向き合う格好になって、抱きしめられながらキス。彼の右手は私の下半身へ。
苦しげな私の声が浴室に響いていた。
もう無理、意識もろともすべてを手放してしまいたい。
「かまわない。ちゃんと部屋まで連れて行ってやるから」
はっとした。
思わず口に出してしまっていたらしい。しまったとは思ったけれど、すぐにその言葉に甘えることにした。
彼の上に座らされて、自分の重みで抵抗なく彼が入ってくる。
ひっかかることはいくつかわかったけれど、この時ばかりはもうどうでもよくなっていた。
無意識のうちに心の奥の方で、彼を信じることに決めていたのだ。
きっと私は間違っていないと、私には根拠のない自信があった。