傷痕より誓いの口づけを〜for future〜-1
最近…、体がおかしい。
現実から目を背けるように、微睡んで過ごしてしまう。
「千歌?おーい」
「……ん、なあに?」
うとうとした意識が急に覚醒していく感覚は、めまいに似てる。
「…聞いてた?」
「もちろん」
にっこり笑ってそう嘯くと納得したのか、彼女はまた話し出して、私はまた船をこぎだす。
なんだか……最近は全部が全部、笑っていれば事が流れてしまう。
私の意思は関係ないように、すらすら阻むものもなく流れていく。
楽なようなそれは私には居心地悪く心もとない。
流くんは式が迫るごとに今までの束縛や執着の手を緩めて、以前のように追及することもなく、……こうやってお茶をするのも『いってらっしゃい』の一言で終わってしまう。
それが物足りなく感じる自分はどこかオカシイと思うのに、……愛想をつかされたかな、とかネガティブループ。
いざやれば、楽しみにしていた友人とのお茶だって何だって……上の空で
何やってるんだろう。
母もおばさんも、マリッジブルーねぇ、なんてわざと楽しげに言ってくれても…私は上手く返せないまま、曖昧にぼんやりして、笑うことすらできないでいる。
………心配をかけているのはわかるのに、どうすればいいかがわからない。
嘘、わかってる。
気が重くて…がんじがらめになった心はやり場なく苦しい。
「千歌だってそうでしょ?」
「え、あぁ…うん。そうかも」
何がそうなのかもわからないままで、私は流されるように曖昧に頷いた。
結局何を話したかもあやふやなまま友人と別れた。
『また式でね』
『お幸せに〜!』
なんて言葉をもらって……それにも私はあやふやに笑い返した。
気分を醒まそうとシャワーを浴びようと、ただいまとだけリビングに投げかけて洗面所に向かう。
服を脱いだ、素肌が鏡に映る。
体をひねるように動かして背中を映す。