囀ずるのは春だから-4
手荒に引きずられるようにもつれ込んだホテル
安っぽいライトが煌めいて警報みたいにチカチカ光る部屋から一つ適当に選ぶ
エレベーターすらじれったくて一時的な密室で、誰が割り込むとわかりながらも絡み合って戯れる
唇を舌先でチュウ、と吸うように弄られながらクチュクチュ音をたて食まれれば、仕返しの代わりに鶯の背筋を爪先でなぞって爪を軽くたてた。
首筋をきつく吸われ、いつもなら痕が残る、と怒っても……今日はむしろ残して欲しかった
たくさん、たくさんハルのものだって証を残して欲しい
「ふぁ…っ、ん!ぁ…」
ねっとりと首筋を這う唇が肌を離れないまま、たどり着いた耳元をクチュリと舐めあげる
音にすら犯されそう…
すがるようにハルの服を掴んで、震えそうな足をなんとか立たせる
間の抜けた音が鳴ってエレベーターが止まれば、ギブアップしかけのふらふらした足を、ハルに腰を支えられてやっと部屋につく
ドアが閉まるなり、ドアとハルに挟まれるように腕に閉じ込められ荒々しくキスをされる
キス、…なんて可愛いもんじゃない
貪って味わって、食べ尽くされそうなキス
「痕、たくさん…残して」
「――いいの?」
「…うん、鶯のものだって見せびらかせて」
噛みつくような勢いでキツく首筋や鎖骨を吸われながら、痛みを伴うのに離れないでとハルの頭を抱え込んでしまう。
「っあ、ぃ…た……ふ」
「……痛い?」
「へー…っき、ん!ひあ」
ふいに腰をすぅーっと指先でくすぐられればビクビクと反応して体をよじってしまうのに、私の服だけは素直にハルの指先と一緒に下に落ち脱げる。
……スト…ン
服が肌を滑り落ちる感触すら敏感に感じるのに、ストッキングを焦らすように脱がす音だって耳から羞恥を煽ってくる
ハルの顔は変わらず私の顔の近くにあって、見定めるように射抜く目があるからなおさら……
でも逸らさない、私から逸らしたりしない