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春に囀ずる
【女性向け 官能小説】

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囀ずるのは春だから-3

「紗英――、俺どこまで信じていい?どこまで真に受けていい?」

震える声にハルも怖がってるんだとわかった。


いくら対等に付き合ってもお互いにぬぐえないものがある。

――年の差は、……私にもハルにもどうしようもできない。
どうしようもできない。

……どうしようもできないからこそ、ふいにつつかれれば痛い


痛くってたまらない
普段見ないフリをお互いにしてる分、痛い


もっと時間がたてば変わらないのかもしれない

でも私たちは同じ成人だって――大人と、…大人未満子ども以上の二人で、……曖昧なラインなんだもの



周囲の目が気にならないわくない
こわいけど痛いけど………もう手遅れなんだ

鶯を離したくない

「ハルじゃなきゃイヤだ。もうハル以外……鶯以外……ドキドキしないの」

体を合わせて顔を寄せたハルの胸は、どくんどくんと早鐘を打っている。
私と……同じ。


「ハルは、……私と付き合ってるの、苦しい?」

「………まさか」

――って言ったら嘘になるけど……苦しくてもそばにいたい、かな
 
 

ああ、もう………この子はどれだけ私のために背伸びして自分の精一杯をくれるんだろう

「大好きよ、鶯」
「ん、俺も紗英が好き」
人がいつ通るかもわからない路地裏でこんなセリフ囁けるぐらい、好き。大好き……本当に


「ワガママ言っても、いい……?お願い、鶯」

キスしながら合間に囁いてお願いを流し込む。

――お願い、ハル。
私、今…すごく鶯に抱いて欲しい
愛されたい

お互い熱っぽく吐く息や抱かれる腕を全身で感じたい


「だめ。できない」


――返された返事に……、正直ショックだった

ぐわんぐわん…頭を殴られたような衝撃があった

「な…ん、で……?」
「あー…ちがう。そういう意味じゃなくて、あのさ」

―――優しくできない、…から、だめ


そう痛いくらい抱き締められて、私だって腕に力を込める。

―――いいよ
優しくしないでいいよ


呟く先にある鶯の胸も、艶めいた息をはく私の胸も、――二人とも心臓が壊れるかと思うぐらい早鐘を打っていた


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