青いころの先に-4
がんばるのゴールが………だんだんわからなくて、彼氏ができても思う人が変わっても、安堵なんて出来なかった。
むしろその人たちの気休めのような大丈夫に苛立ちさえ覚えたほど、私は何かに駆り立てられていた。
何が、大丈夫なのよ…
宥められればられるほど、誉められればられるほど逃げたくなった。
愛しいはずのその人たちより自分を優先した。
ただがむしゃらにがんばってきた。
休む間もないほど。
それは―――私がずっと待っていたからなんだ。
今日やっとわかった。
「いや、柴咲はちゃんと立派になった」
私は、何より誰より、この――初恋の憧れて焦がれた人に認められたかったんだ。
白木先生に認められたかったんだ。
この日を待って、目指してきたからだ。
だってこんなにホッとして――やっと今まで歩いた道を振り返ったような心地さえした。
ぼろぼろに泣く私に、氷を挟んだおしぼりを手渡して、頭を数度撫でてくれた。
「白木先生、――」
「ん?どうした」
あぁ――もうどうしよう
どうしようもないじゃない
「もう一回、好きになっていいですか」
どうしようもない
だってもう走り出してしまったんだから
またがむしゃらにがんばるしかなくても、私は欲しい
この人が欲しい
この人の隣が欲しい
「酔ったのか?」
「ちがいます。酔ってますけどちがいます。おぼえてませんか?」
あのときから、――頑張りました、ずっと
「知っていたよ」
「……せんせいの、となりに立ちたかったんです」
「それは、――」
あぁ、――困らせてしまったかもしれない
「酔いの戯れじゃないと信じていいのか?柴咲」
ハッと上げた顔の先にはあの日と同じ真剣な目があった。
夢中でうなづいた。
「ありがとう。こんなおじさんをまた好きになってくれて」
ゆめみたい。
ゆめをみてるみたい。