ある季節の物語(秋)-3
その日の夜…
行為を終えた夫は、近くの自販機に煙草を買いに出ると言って外に出かけた。下着を身につけ
た私は窓の傍にそっと近寄る。
その部屋に視線を向けた瞬間だった…住戸のバルコニーの暗闇の中に、帽子を深々とかぶった
人影があるような気がする。暗くてよくわからないが、確かにその人影はゆっくりと部屋の中に
戻っていった。
あのときの男に違いない…
あの若い男は、ずっとあの場所で私と夫の行為に耳をすましていたのだ。私の腋の下を冷たい
汗が流れる。
夫との行為のある夜、その決まった時間にかかってくる電話…
…ビシッ…ひぃー
…ああっ…もう、駄目だわ…はっ、早く、ほしい…
それは耳を塞ぎたくなるような私のあのときの声だった。
あの男に縛られた乳房を揉みしだかれ、陰毛を掻き分けるように縄で緊めあげられ、脇腹に鞭
を受け、快感に満ちた嗚咽を洩らす私の声だったのだ。
…やっ、やめて…困るわ…
その一方的に流される電話からの返事はなかった。私は頬を強ばらせ、その電話を切る。
…どうしたんだ…また間違い電話か…と、ベッドの上で夫はあくびをしながら言う。
私はその夜、激しく夫のものを求めた。あの男の淫猥な呪縛のようなものから逃れたかったの
だ。
あの男のペ○スを咥え、しゃぶり尽くし、その精液を呑み干した私…あのとき、私はどうかし
ていたのだ…。
バルコニーにあるプランターのコスモスが、可憐な薄桃色の花をつけ始めた日だった。
…どっ、どうして、こんな写真が…
あのホテルで私が縛られた写真…そして、私の陰部を喰い緊めたあの黒い縄を、あの男は私の
マンションに送りつけてきたのだ。縮れて乾いた私の陰毛が、生々しくそのざらりとした縄の表
面に卑猥に絡まっていた。
そしてその中にあった手紙…