未完成恋愛シンドローム - 目覚め --10
―15分後。
「・・・なにしてんねん、アイツら」
ぱっぱと荷物をまとめ、和葉たちを待つ。
が。なかなか帰ってこない。
「・・・めんど」
いつの間にか、教室の中にはオレと数人が残っているだけになっている。
「あれ?」
そう言えば、コタローがいない。
というか、オレが終礼の後、和葉に起こされてからはあいつのことを一度も見ていない。
「・・・・・」
―先に帰ったんか・・?
「・・・」
―っていうか、なんでコタローのことばっか考えてんねん・・。
ため息を吐く。
「あれ、まだいたんだ?」
やっと戻って来た和葉が、ひたすら失礼なことを抜かす。
「お前な・・・」
半分怒り、半分は呆れながらも、なにを言っても無駄なのが判ってるからなにも言わない。
「カイトは?」
「え?ああ、先に行ったよ」
「ふーん」
・・・・。
別になんでもいいけど。
「行くで、和葉」
「うん」
言って、席を立った。
・・・・・。
「お疲れー」
「・・・」
「おつー」
「お疲れ様ー」
校門まで来ると、ゆーしとコタローが待っていた。
「あ。いたいた」
後ろから声がしたんで振り返るとカイトが歩いて来ていた。
「なにしててん」
「ん?別にー」
―まぁいいけど。
「結局、オレと和葉とゆーしだけ?コタローん家行くんは」
「あ、伊吹ちゃん」
「あ?」
点呼を取るみたいに確認していると、いきなり和葉が割って入って来た。
「なに、和葉?まだ誰か来んの?」
―まだ誰かに声かけたのかこいつは・・・。
「んー、そうじゃなくて」
「?」
珍しく、和葉が煮え切らない。
「なに?」
「今日じゃなきゃ、ダメ?」
・・・・・・。
「は?」
―なに言い出すねんこいつ・・?
「お前が言い出したんちゃうんかい・・・」
「う。そうなんだけど・・・」
チラッとカイトの方を見る。
・・・・?
「なんか知ってるん?カイト」
「ん?いや、オレ元々よーちゃんと約束してたんよ」
・・・。
「はぁ?」
「ほんとにごめん」
言って、パンッと手を合わせる和葉。
「お前な・・・」
半分呆れて、額に手を当てる。
「・・普通約束した日に、更に約束重ねへんやろ・・・」
「ごめん・・約束したの結構前だったから、完全に忘れてて・・・」
肩を落としながら言う和葉。
「んー・・・・」
あんまりにも申し訳なさそうな顔をしているもんだから、流石にこれ以上は責められない。
「・・・」
―っていうか、約束あったんなら、オレが言った時に言えよカイト。
「まぁ、別にええけど・・・」
「えー?!」
いきなり、今までなにも言わなかったゆーしが叫びだした。