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AH! MY GODDESS ラストストーリー
【二次創作 恋愛小説】

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AH! MY GODDESS ラストストーリー-2

『違うよ。ちょっと疲れちゃってさ、食欲無いんだ。休めば大丈夫だから心配しないでいいよ。』
まるで、その場から逃げるようにそう言って、螢一は部屋に入ると明かりも付けずにベッドに横たわった。

最近、身の回りでいろんな変化が起こり、それが自分の気持ちを揺らしているのだろうか?

枕に顔を埋めて螢一は溜息をつく。自動車部の後輩の長谷川は、長年想い続けていた青島とゴールインした。その結婚式の招待状を眺めながら妹の恵は言う。

『螢ちゃん達は、まだなの?』

さらに両親までもが言う。

『そろそろ男として、はっきりさせなさい。外人だっていいじゃないか。』

俺だって、そうしたいよ恵。外人だったらいいよね桂馬さん。いつの間にか胸の奥に芽生えた感情……それが自分を苦しめる。必死にしまい込んでも、ふとしたことで鎌首を擡(もた)げて来る。彼女の顔を見ていると口にしてしまいそうになる。

ベルダンディー……君が人間だったら……


(ああっ女神さま!より)
願ってはいけない。望んではいけない。けれど、どうしたらいいんだ?張り裂けそうな胸の痛みをどうしたら?

寝苦しさに目を覚まし時計を見ると、午前2時を指していた。軽い空腹を感じ居間まで来ると、螢一はコーヒーを入れる。今の自分の気持ちの様に苦々しい味が口に広がった。廊下から足音が聞こえ、襖が静かに開く。
『螢一さん……具合どうですか?』
目の前に、心配そうな表情のベルダンディーが立っていた。
『ゴメン…起こしちゃったかな?』
螢一の問いに彼女はふるふると首を振った。
『あの…何か軽いものでも作りましょうか?』
『いや、いいんだ。気を遣わなくていいよ。俺も寝るから休んでてくれよ。』
そう言って、螢一は飲みかけのカップを持って立ち上がると、台所に向かう。

『あの…螢一さん……』
『ん?何』
『何か悩み事でもあるんですか?』
心配げに聞いてくる彼女を、螢一は何も言わずにそっと抱き寄せた。そんな突然の行動にベルダンディーは頬を赤らめる。そのまま、その耳元に口を近づけて螢一はそっと囁いた。
『何でもないよ。おやすみ。』
それだけ言うと、佇むベルダンディーを残し、螢一は立ち去った。

翌日、普段と変わらない螢一にベルダンディーは小さく胸を撫で下ろす。しかし、心の奥底で芽生えた葛藤は徐々に確実に螢一を蝕んでいく。
その些細な変化に最初に気付いたのは、意外にもベルダンディーの姉であるウルドであった。

『螢一、あんた最近おかしいんじゃない?』

自室でくつろぐ螢一に単刀直入にウルドは尋ねて来た。
『口には出さないけど、あの娘も何か感づいてるよ。何を悩んでるの?』
『何もないよ。』
そう言って視線を逸らす螢一の顔を両手で掴むとウルドは無理矢理、自分の方へ向ける。
『おんなじ台詞をあの娘にも言えるの?』
答えに詰まり、螢一の視線は泳ぐ。
『一体、どうしたってのよ?』
『…言え…ない…よ』
直も詰め寄るウルドに苦しげに螢一は呟く。ウルドも、今まで見た事のない程に思い詰めたその表情に思わず言葉に詰まった。
『で、でも、このままって訳にはいかないでしょ?』
ウルドの言葉に押し黙り、しばらく無言でいた螢一は溜息ついてウルドを見た。


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