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王子様と私
【ファンタジー 官能小説】

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王子様と私-3

「もう止めるか?」
「大丈夫……です」

そして私たちは結合した部分が抜けないように気を遣いながら、いわゆる普通のカタチでもういちどセックスをした。
最初に入れられたときは裂けるんじゃないかと思うくらいに痛かったというのに、もう随分と彼に馴染んでしまった。なんて適応力なんだろう。
今度こそ、私は彼と一緒に達することができた。世界の裂け目が見えるようだった。
ぐったりと目を閉じる。
どうして、私なんだろう。私が、選ばれたのだろう。
これは彼の気まぐれだとわかっているのに、良くない方向に勘違いしてしまいそうだと思った。

「……すまん」

王子は未だ裸のままの私をそっと抱きしめて、搾り出すような声で言った。
意外性に満ち溢れた謝罪。
私は目を丸くした。

「なぜ謝るのですか」
「ほんとうに初めてだとは思わなかった」
「いえ……気になさらないでください。
 それに、言ったらなにか変わっていたのですか?」
「縛りはしなかった」
「……それだけですか?」
「名前も呼んだ」

かわいい。
ひょっとすると未来この一国を背負って立つかもしれない男性が、拗ねたように言うなんて。
少しばかり愉快になって、私は意地悪に問い詰める。

「知らないでしょう?」
「知ってる」
「嘘」
「知ってるといっている」
「ふふ……わかりました」
「おまえこそ、俺の名前を知っているのか?」
「当たり前です。私は名も知らないお方にお仕えしたりしません」
「じゃあ、呼べ」

歌うように私は呼んだ。

「ライン様」

彼が顔を綻ばせる。
びっくりした。その微笑みは嘲笑には見えなかった。
きらきらするような笑顔だった。

「正解だ、エル」




この時、彼は私の名前を知っていたという嬉しさで頭が回らなかったが、知っているということは、私を連れ込んだのは王子の気まぐれではなかったということなのだ。
後に私は知ることになる。
この日から、ただ侍女として働くだけだった私の城での生活が変わり始めることを。
そのお話はまたの機会に。


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