王子様と私-2
「……んッ、や…あ……!」
「すごく濡れてる。気持ちいいのか?」
答えられるか!と胸の内で叫ぶ。
上目遣いで睨むと彼は愉快そうに笑っていた。
その間も響く、グチャグチャと粘着質な音。
耳をふさぎたいと心から思う。
「さぁ、どこがおまえのいいとこなんだろうな」
人差し指が私の中に入ってくる。
自由に動き回る指に、苛々するくらいに翻弄される。
わりとすんなり見つけられてしまった『いいとこ』を集中的に攻められて、意識がどんどん白くかすんでゆく。
「やッ…あ、あああ……んんッ!」
舌で陰核を、膣内を指が、捏ねられて出し入れされて、私のかすれた高い声が尖る。
気持ちいい。
本気で、ものすごく気持ちいい。
これがイクとかなんとかいうあれなの。
だって待って、ちょっと考えさせて。
こんなのだめだ。嫌だ。
「ああ、だめ……だめです…だめッ!」
陰核を吸われ、あっけなく私は達した。
靄がかかったような鈍い感覚の中でも、手首の拘束が外され、衣服をすべて脱がされるのがなんとなくわかった。
彼の視線が私の身体に注がれている。明かりのついたままの部屋、隠したいというのに、身体がひどくだるくて動きやしない。
「なかなか綺麗だ」
ゆっくりとキスが降ってくる。
何度も何度も軽く重ねた後に、舌が横柄に侵入してきた。
私は綺麗の一言に嬉しくなって夢中で舌を絡める。王子の片手に後頭部を押さえつけられ、ひたすら貪るように。
「……入れるぞ」
私は唇を重ねながら何度もうなずいた。
もう身分だとか立場だとかを忘れて、ただ彼に応えたかった。肌を重ねて間もない関係だというのに、寂しい人なのだと直感的に感じたからかもしれない。
きっと彼はすぐに気がつく。
俺が初めてか。
その言葉が核心を突いていたことに。
「なぜ、言わなかった」
今度は彼を置いていかないように、私も必死に私を繋ぎとめていた。お願いだから次からは質問する場合、とにかく動きを止めてからにしてほしい。
一度に二つのことを全力でできるほど、私は器用じゃない。
「な……にがで、すか?」
「さっき」
「……さっ、ッああ!」
ゆったりと座る彼の上に跨って、彼をくわえ込んだまま上下に揺さぶられる。つられて一緒に動く胸を支えるように手で揉まれて、また意識が飛んでしまいそう。
荒くなる呼吸の中、きゅっと乳首を摘まれて、私はたまらず短く悲鳴をあげてしまった。
軽くイク、だとか。もう、これで何度目になるのだろう。
「だめだろう、もう少し我慢できないのか」
「……できたら、してます」
私の返答に彼は苦笑して、むずがる子供をあやすように、よしよしと頭をなでた。