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フニと僕の成長記
【家族 その他小説】

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フニと僕の成長期3.5-1

「ただいま」

「おう、お帰り」

「お帰りなさい」

僕とフニが日課になったお散歩から帰って来ると、さっきまで居なかったお父さんがリビングで新聞を読んでいました。

『おとーさんぅおかえり〜!』

フニはお父さんに向かって突進して行きました。フニはスピード調節が出来ないので、お父さんの足に頭をぶつけてコロンと転がります。
そのままお腹を見せて撫でて、の合図をしました。

「はいはい、フニ、ただいまただいま」

体をうねうねさせて喜んでいます。

「お父さん、チャンネル変えてもいい?」

僕はソファに座りながら聞きました。テレビではニュース番組が流れていました。

「ダメ。お父さん、ニュース見たい」

胡座をかいているお父さんは新聞をめくりながら言いました。
足元ではフニがまだ撫でてとせがんでいるけれど、お父さんは新聞に夢中でした。
僕はフニを呼びます。
すると、フニはすっと立ち上がってダダダダッとソファに突進してきました。ボフンと音を立てて顔から突っ込むフニ。
僕の膝の上に来ると、さすがに少し痛かったのか、前足で顔をさすっていました。
その姿が妙に可愛くて僕は、両手でフニの頬っぺたを包むようにくしゅくしゅと撫でました。
手を離すとフニは丸くなり、顔をペチャンコにして眠そうに目をショボショボさせました。
その顔がすっごく間抜けで僕はクスクスと笑ってやりました。
その時です。
テレビから『ホケンジョ』という言葉が流れてきました。瞬間、あの日のお父さんとお母さんの会話を思い出しました。
確か、僕たちが飼わなければフニが連れていかれたかもしれない所…。
僕はテレビに目を向けます。
丁度、小さいカゴに入れられた犬が写っている所でした。
あんな小さいカゴではキツすぎるのか、犬の目は助けを求めているようでした。同じように、たくさんの犬や猫が小さなカゴに入れられています。皆、同じ目をしています。
もっと大きなやつに入れてあげればいいのに。
リポーターの女の人が何やら話しています。
次に、画面は牢屋のような部屋を写し出しました。
そこに入っているのは人ではなく、犬や猫。すごく不思議な光景でした。

〔キャンキャンキャン…ッ!〕

テレビの中で吠える犬の声にフニが首を上げました。
女の人がその部屋に入ると待ってましたとばかりに彼らはその人に向かって吠えます。鉄格子に張り巡らされた金網に爪を掛け、二本足で吠え続けています。

〔ニャーオン、ナオーンッ!〕

〔キャン!ギャンギャン!〕

僕は何だか胸が苦しくなってくるのを感じていました。鉄格子の中の犬と猫は、僕らに何かを必死に訴えていました。かすれた鳴き声は悲痛の叫びに聞こえます。
その瞳は恐怖に怯えているようで、彼らには一体何が見えているのでしょうか?
もうこれ以上見ていたくないという思いとは裏腹に、僕はテレビから目が離せませんでした。
リポーターさんがその部屋のもっと奥に向かって行きます。


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