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フニと僕の成長記
【家族 その他小説】

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フニと僕の成長期3.5-2

〔こちらには明日処分される予定の犬や猫が―〕

処分?犬と猫を?
確かに今、処分、と言っていました。
ということは保健所は犬や猫を処分するということなのでしょうか。

〔貰い手がいなくなって―〕

飼う人がいない犬や猫は保健所に連れていかれて、処分されてしまうようです。
処分とはすなわち、人の手で殺されてしまうということ…。
僕はだんだん、ホケンジョが何なのか分かってきました。
先程とはうって変わって、一匹の猫がひっそりと横になっていました。人が来ようとぴくりとも動かず、鳴いて助けを乞うようなことは一切ありません。
全てを蔑むような目でカメラを睨んでいます。まるでカメラ越しに僕を見ているような。
…この子を何とかしてあげたいけど、僕には何も出来ません。

「ほら、卯月の見たいテレビ」

「あっ」

パッと画面が切り替わり、薄暗かったテレビが明るく鮮やかになりました。
お父さんがチャンネルを変えたようです。

「今のやつ」

「見てたか?」

僕は首を縦にふりました。
するとまた薄暗い映像が写し出されました。
こつぜんと現れた空っぽの部屋。でも、そこには確かに数秒前まで猫がいた、そう思うと僕は急に怖くなってきました。

「もういい」

「ん」

再度、チャンネルを変えるお父さん。
テレビの内容なんて僕には入って来ませんでした。

「ねぇお父さん。フニも保健所行くとこだったの?」

「ん、まぁな」

「そしたら…フニも死んじゃった?」

「たぶん」

「そんっ、なの…やぁだぁ〜…っ!ぅわあぁぁぁぁんっ…!」

まだ頭の中にはあの目が残っていました。全てを見透かしたような、絶望にも似た悲しい目。フニもそれになっていたかもしれないと思うと、僕は怖くて怖くて、涙が溢れて来ました。
ギュッとフニを抱く腕に力を込めます。
フニは絶対に渡さない、と思いました。

「お前何泣いてんだ。フニが死ぬ訳じゃあるまいし」

お父さんが僕を笑いました。


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