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仮面と黒猫の探し物
【ファンタジー その他小説】

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仮面と黒猫の探し物-6

しかし…


イルは落胆してしまった。
どう見てもトトは、発展途上の小さな村落である。
人の流れはおろか、物資や情報の流れも、交易で賑わう町や、城下の都市に比べると遥かに劣る。



おそらく、『探し物』はここでは見つからない。


はぁ、と溜め息をつく。


『いいじゃんイル。久しぶりに綺麗なベッドで寝られるし。』


『うんそうだね…。』


『あったかい食事もあるよきっと。』


『うんそうだね…。』


『手掛かりは無いだろうけど。』


『…そーだなぁー…。』

『…イル。』


『んー…?』


『つくろう毛も無いんだから話ぐらい聞いてよ。』


『そーだなぁー…。』


ダメだこりゃ。
ナナはイルとの会話を諦める。
なんたってイルは、その『探し物』の為に旅をしている。


イルはその『探し物』は人や物、情報が多く集まる所に有りそうな気がするって言ってた。



なのに、半月ほどかかってたどり着いたのは少し立派な村。


そりゃあ落胆もするだろうと思う。


もしかしたら、歩みの遅い荷馬車の中でイルがずっとじっとしていられたのは、到着した町で探し物が出来ることをすごく期待していたからかもしれない。
その期待の結果がこれだと、少しだけナナはイルが不憫になった。




『だーいじょうぶだ仮面坊主!黒猫!トトはいいところだぞぉ。物や金はあんま無いが、人々は優しいし、自然が豊かだ。お前らの探しもんの手掛かりくらいはきっと落ちとるわい。…どーうっ。』


どうやら到着したらしい。馬を止め、御者台を降りてゆくガリフ。


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