鮮やかに凛として-5
遊佐子の身体も舌も千歳から逃れようとするが、やがて逃れる事をあきらめたのか千歳の身体に自らの両の手を回した。
唇を薄く離し息継ぎをし、唇を甘噛みし、舌を絡ませる。
それらを繰り返せば繰り返すほど、言葉は要らなくなり、我を忘れ、互いの身体を執拗に求めてしまう。
千歳は遊佐子の首筋に下を這わせ、軽く耳たぶを噛む。
「ぅふんっっ」
遊佐子の甘い息が漏れ、千歳の遊佐子を抱く手に力が篭る。
ヘタな言葉よりも動物的な行動が遊佐子への唯一の意思表示なのだろうか。
千歳は迷いながらも遊佐子の形よく膨らんだ乳房に手を伸ばした。
「イヤッッ!!!」
遊佐子は積極的に口を吸っていたにもかかわらず、千歳の手を跳ね除け抗議の意思を含んだ視線を千歳に投げつけた。
「……なんで??オレのコト、瀬戸内さんはキライなんデスカ???」
千歳は業と甘えた声を出し、幼子のような少し拗ねた仕草を遊佐子を抱いたまました。
そんな千歳の仕草に遊佐子は戸惑ったが小さく深呼吸し、いつもの強い意思を持った瞳で千歳に答えた。
「ココ、学校じゃないの」
遊佐子は千歳の身体から自らの身体を力で引き離そうとした。
しかし、千歳は逃れようとする遊佐子を追いかけ、再び強く抱きしめようとする。
「カンケーないデスヨ。オレ、瀬戸内さんのコト、好きなんですから」
「カンケーあるってっっ!!」
「カンケーないデスッ!!!」
「だって、アタシ、ココの職員なんだよっっ!!!学生に手ぇだしてんのバレたら即クビだってっっ!!!」
「ソレ、マジ困まりマスっっ!!!つか、この部屋の内鍵を閉めたから、人が入れないってっっっ!!!」
「何それっっ!!!ヘンタイっっっ!!!」
「あぁ、ヘンタイっすよっっっ!!!ソレがどーしたンスかっっ!!!」
鰻のようにスルスルと千歳から逃れようとする遊佐子を千歳は必死で追いかけ抱き締める。
その千歳の執拗な追求から必死で逃れる遊佐子の身体。
狭い書庫の中を二人は社交ダンスを踊るようにクルクル彷徨う。