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僕とあたしの夏の事件慕?
【幼馴染 官能小説】

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僕とあたしの夏の事件慕? 最終話 「あたしの事件慕」-2

***―――***―――***

 澪の部屋に来たのは久しぶりだと思う。最後に来たのは確か中学生の時だから、二年前だ。
 あの頃から殺風景な部屋だと思っていたけど、それでも、ピンクのカーテンが女の子の部屋という印象を与えるから、少しは進歩したと思う。

「座って」

 澪は椅子に座りながらそういうけど、僕には座布団も無い。かといってベッドに腰掛けると怒るだろうし、仕方なくフローリングの床に直に座る。

 ……なんだか尋問を受ける罪人みたいだ。

「あたしが聞きたいコト、わかるよね?」

「真澄家のことでしょ」

「そう。あたしが狸達に捕まっていた間、まさかサボってたわけじゃないでしょうね?」

「うん、だけど、あくまでも真澄家の内実に関わることだし、あんまり話していいものじゃないから……」

「あたしはもう少しでテイソ……その、酷い目に遭うとこだったのよ! 知る権利ぐらいあるんじゃない?」

 確かに当事者の一人だったし、しょうがないか。

「分かったよ……」

 僕は数日前の記憶を呼び起こす。


 〜鍵の紛失と部屋を荒らした犯人について〜

 別荘へ来た最初の日の夜、僕は蔵へ向かう椿さんを見つけ、その後をつけた。
 目を光らせている真二さんに見つからないよう、椿さんは地下室から例の通路を通って楓さんに会いに行ったんだ。
 僕は物音に気付いて椿さんを追ったんだけど、蔵で見失った。代わりに理恵さんに見つかって、一緒に椿さんを探すことになったんだ。
 実はこのとき、愛美さんも椿さんが部屋を留守にしていたのを知っていて、椿さんの部屋に侵入していた。
 ここからは僕の想像が混じるから、あんまり鵜呑みにしないでよ?
 外に出たはずの椿さんが楓さんの部屋から出てきたことに驚いた真奈美さんは、鉢合わせになるのを怖れ、慌てて椿さんの部屋の鍵を盗んでベランダから部屋を出た。
 ひとまず凌いだ愛美さんだけど使用人部屋にはベランダからのドアが無くて入れない。
 その時、丁度部屋を留守にしていた僕の部屋を見つけて通り抜けた。僕の部屋は愛美さんの鍵で開くからね。多分その時に鍵を落としたんだと思う。

 一方、真二さん達は予想以上に多い客に遺言書の捜索を阻まれていた。
 そこで一芝居うつことにする。
 朝起きたら何者かに部屋を荒らされていた……ってね。しかも、都合の良いことに、椿さんの部屋の鍵も無くなっている。

 別荘の中に泥棒がいるかもしれない……!

 みんなそう思ったでしょ?
 真二さんは『鍵と犯人の捜索』という、別荘内を調査するには都合の良い理由を手に入れたんだ。だけど、澪が僕の部屋から鍵を見つけてしまう。肝心の遺言書が見つかっていないのに調査する理由を失った。
 ここでも真二さんは一計を講じ、その鍵を手にする。もちろん椿さんはその鍵が本当の当主の鍵じゃないことを知っていたから応じたんだろうけどね。

 それが真相。


「これで納得した?」

「……なるほどね。でも、肝心の遺言書は?」

 やっぱり誤魔化せないか。本当は話すべきじゃないんだろうけど……。


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