僕とあたしの夏の事件慕? 第七話 「差し込む光」-5
「うるせぇ! そんなことよりも、孕むかどうかを心配しやがれ!」
「だめぇ! 激しくしないで、イクのはいやぁ!」
髪を振り乱し、必死で快感を否定する梓……なのに腕は哲夫を抱きしめている。
「いいじゃねぇか、椿みたいにいっちまいなぁ!」
「あ、あ、ああぁー……イヤァアッー! ダメ、イキそう……アンタなんかので、イカされるのはイヤなのにぃ……」
「へっ、お前はイクんだよ……ま、俺もイカせてもらうけどよ!」
膣内射精を予告する言葉にはっとする梓。一瞬にして顔から淫らな雰囲気を一掃し、代わりに怒りを顕わにする。
「……アンタ、中で出したら殺してやるわ! きっと殺してやるんだから!」
「いいぜぇ、ベッドの上で何度でも相手になってやるぜぇ! そんときゃお前がシヌゥシヌゥてよがるんだ!」
哲夫を睨む梓だが、子宮を突く甘い誘惑に逆らえず、徐々に顔が緩くなり享楽に堕ちる。
「ふぅっ……あ、あー……イ、イヤァ、イッちゃうぅー……イヤァアッー!……」
梓は上を向いて舌を突き出し、ビクンと身体を震わせる。
「くそ、すげぇ締め付けだ……うあっ! ふぅうっ……あ、あぁ……」
今度は哲夫が呻き、その小さな身体を折れるぐらいに抱きしめる。梓の足はピンと突っ張り、背中に回していた手がわなわなと震える。
「はぁ……はぁ……」
哲夫は低い唸り声を出しながら、梓を見下ろすように身体を起こす。
結合部からだらりと白い粘液が溢れ出る。膣内射精をされた……なのに梓は動こうとせず、ヒィヒィと小さくテンポの速い呼吸を続けている。
「どうだ……俺のは……」
「殺して……やるんだから……」
その声には切なさが多く含まれ、目には涙が溢れている。
多分……梓もイッたんだ。
◆――葉月真琴――◆
「……うん、君の言う通りだ。ただ、それが公にされても困るんだ。それに真二さん達に知られても良いことは無い」
僕がたどり着いた真実を楓さんは肯定してくれた。だけど、真澄姉妹を守ることには結びつかない。
「まさか藤一郎氏もこんなことになるとまでは思っていなかったろうね。じゃなかったらこんな手記は残せないか」
楓さんが手記を返してくれたので、なんのきなしにパラパラとめくってみる。
あれ……? 最後のページ、最後の一文のあった場所が白紙になっている? いや、破られている!
「これ、破っちゃったんですか?」
「え、俺じゃないぞ……」
僕と楓さんの視線が理恵さんに向かう。
「あたしじゃないわよ。というより、見てないし」
理恵さんは慌てたように手を振り潔白を主張する。
「じゃあ誰が?」
椿さん? それとも……そういえば、さっきから皆がいない?