僕とあたしの夏の事件慕? 第六話 「真実を探して」-4
「まあまあ、梓、そんなこと言わないで……あなたの好きな桃の紅茶買ってきたんだから、機嫌直して……」
漂う香りに怒気を削がれ、梓もカップを口にする。
「まったく、調子良いんだから……でも、これ美味しいわ」
「でしょ? 梓が好きだと思って」
あたしも飲んでみたけど、さくらんぼの酸味を連想させる香りが鼻腔に充満する……ん、なんでさくらんぼ? これって桃じゃないの?
「変ねぇ、あたしが買ってきたのは桃の紅茶なのにさくらんぼが混じってる……澪さん、これ……」
なんだか眠い。
お昼食べたばっかりだし、仕方ないか……な?
目の前では梓がカップを倒し、寝息を立てていた。
これってどういうこと?
薄れ行く意識の中、勝手口の開く音が聞こえた。