僕とあたしの夏の事件慕? 第六話 「真実を探して」-13
◆――葉月真琴――◆
応接間に行くと、楓さんがソファに座りながら例の手記を読んでいた。
「楓さん、その手記は……」
まさか楓さんが僕の部屋から盗んだ? いや、それなら隠すハズ。
「この部屋にあったんだ。それより何かわかったのかい?」
「まだ半分……ってとこです」
はやる気持ちを抑えながら、僕は楓さんの前に腰掛ける。
「楓さんはどうして真澄家の別荘に来たんですか?」
「どうしてって、理恵に手伝いを頼まれて……」
ニセモノ弁護士の助手という設定はあまり作りこまれていなかったらしく、続く言葉がすぐに出ない。
「なんのです? 弁護士でもない理恵さんの、何の手伝いをするんですか?」
答えに窮する楓さんに追い討ちをかけるべく僕は続けた。
「なんだ、ばれちゃったのか……」
言葉とは裏腹に楓さんは慌てる様子もなく、余裕の表情を見せる。
「……そう、確かに俺達は藤一郎氏に頼まれたわけでも、遺言書を探しに来たわけでもない。じゃあ、何の用でここへ来たのか……それは分かったのかい?」
それが真澄家の遺産騒動と直接の原因があるのか分からないが、少なくとも真澄家に関わりがあるのは確か。
……僕はその推理を確かめるべく、口を開く。
「楓さんは……」