そして私は俺になる-12
空を最後に見上げたのはいつだったであろうか。私は散らばった洗濯物を畳みながら思った。こうして思い返してみると、私の中学時代はそう悪いものではなかったのかもしれない。そう思えることはとてもすばらしいことのように思えた。
「パパ」
背中に軽い衝撃を受けて振り返ると、渚が私の背中にしがみついていた。その奥で翔がもじもじと何かを隠している。
「渚、重いからやめなさい。どうしたんだ、翔?」
私がそういうと、二人は顔を見合わせてから、翔が一枚の絵を広げて見せた。それは、妙に若々しい私の絵だった。
「パパ、お誕生日おめでとう」
「…そうか、今日は俺の誕生日か」
それを聞いた渚がくすくす笑いながら言った。
「パパ、オレとか言ってる」
渚と翔は二人で変なのーとか言って笑いあっていた。いやいや、今の俺だって昔と負けないくらいに悪くない。
今度、久しぶりにキョウに連絡をとって、一緒に番長のお見舞いに行こう。
おしまい