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僕とあたしの夏の事件慕?
【幼馴染 官能小説】

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僕とあたしの夏の事件慕? 第五話 「僕の事件慕」-5

◆――葉月真琴――◆

 お風呂から上がった僕は暗い部屋の中でおにぎりを見つめていた。
 結局、渡せなかった。今から椿さんの部屋に行くのも迷惑だろうし、かといって食べてしまうのもどうかな。
 ただ、今日はすごく疲れたんだ。ついでにお代わりをしなかったからお腹が寂しそうな声を上げてる。
 しばらく理性と食欲が相談したけど、固くなったおにぎりを梓さんに渡すのも悪いし、食べちゃおうと結論づける。

「いただきま……はい?」

 おにぎりに手をかけると……ノックの音。まさか愛美さん? それとも理恵さん?

「……真琴君、起きてる?」

 なんだ、梓さんか……。
 僕はほっとしながらも、何か別の気持ちがあった。

「開いています、どうぞ入ってください」

 ドアが開き、梓さんのシルエットが廊下の逆光で浮かび上がる。
 僕は梓さんを迎え入れ、電気をつけようとした。

「電気、つけないで……」

 不思議に思いながらも言われた通りにする。
 僕が暗い部屋の中央で突っ立てると、梓さんはベッドに腰を下ろし、隣に座るよう
に促す。

「ゴメンネ、こんな時間に……」

 暗い中、表情はわからないけど、それでもさっきまでの怯えは感じられない。

「さっきのこと、ありがとう」

「そんな、別に気にしないでください……楓さんがいてくれたから……」

「んーん、真琴君がいたからだよ……」

 不意に唇に柔らかい感触、そして熱くなる身体。
 これって……キス……?
 戸惑う僕から唇を離し、肩にもたれかかる梓さん。

「……な、なんで?」

「さっきのお礼……それと、もう一つお願いがあるんだけど……いい?」

「はい、僕に出来ることなら……」

「あのね……私、哲夫に襲われたの……」

 僕は一瞬耳を疑った。

「な、そんな!」

「誤解しないで、強姦されたとかじゃなくて、ちょっと胸を触られた程度だから」

「誤解しないでって、そんなこと許せるはず無いじゃないですか!」

 僕はかなり腹が立ってきた。なんで睨むだけだったんだ! 殴ってやればよかったって後悔してきたぞ! んーん、今から行って殴ってやる!

「落ち着いて、真琴君……頼みたいのはそんなことじゃないの」

 今にも部屋を飛び出しかねない僕を梓さんは悲しそうな声で引き止める。よく考えてみれば、優先順位は梓さんの頼みごとだし、暴力沙汰で癒える傷も無い。


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