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僕とあたしの夏の事件慕?
【幼馴染 官能小説】

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僕とあたしの夏の事件慕? 第四話 「取引」-1

【僕とあたしの夏の事件慕】

第四話 「取引」

◇――香川澪――◇

 あたしと梓は哲夫と理恵さんを追っている。
 ベランダから二人が別荘の少し離れた林に入っていくのが見えたからだ。
 外の方が密談をするにはうってつけだし、やっぱりこの二人は怪しい!

 あたし達は二人に見つからないように注意しながら、大きな木の影に身を潜めて聞き耳を立てる。

「……で、こんなところで私に何の用かしら? まさか一目惚れってわけじゃないでしょうね」

 理恵さんはクスリと笑いながら目を細める。その仕草は様になってるっていうか、大人の女性の魅力がある。

「……簡単な話さ、遺言をちょちょいといじくってくれればいい」

「……バカ言わないでくれる? 私は自分の仕事に誇りを持っているの。そもそも、そんなことしてどうするつもりかしら」

 遺言をいじる? 弁護士を買収? 何のために?

「……肝心の遺言書は見つからないが、あんたらが言えば椿だって従わざるを得ないだろ?」

 なるほど、遺言書を捏造するつもりなのね? あー、なんか録音できるもの無いの? 携帯じゃ音でばれちゃうし……。

「……ちょっと、仮にも弁護士である私の前でそんなこと言う?」

「……俺が穏やかな内に賢くなったほうがいいとおもうぜ。力ずくってのは嫌いじゃないしな」

 ちょ、ちょっとまってよ、何でそんな短絡的な思考なのよ?

「……法曹界を敵に回したってイイコトないわよ? それに嘘の遺言書なんかで椿さんが頷くと思う?」

「そんときは椿でもいいくるめるさ。もちろん、俺の得意なやり方でな」

 哲夫はTシャツをまくると筋肉隆々とした二の腕を見せ付ける。

 ……バツリ……

 乾いた木が折れる音がした。見ると梓が後ろ足で小枝を踏んでいた。
 林を歩いている時はそんなに気にならないハズのそれが、この瞬間だけ場の支配者となり、全員の視線を奪う。

「盗み聞きなんて、いい趣味じゃない? 梓さん」

 理恵さんは悪びれること無く言い放ち、哲夫は鋭い目つきで梓を睨んでいる。

「澪、逃げるわよ!」

 駆け出す梓を慌てて追いかける。だけど、何処に逃げても意味がないんじゃない?
 だってあいつら、マスターキーを持っているんだし……!


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