僕とあたしの夏の事件慕? 第二話 「真夜中のカクレンボ」-6
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目を瞑ること数分……それにしても、なんで田舎の夜は無音なんだろう。さっきからキンキン耳鳴りがする。
……?
今、何か音がしたような……。誰かがトイレに行ったのかもしれないし、そこまで
気にする必要は無い……? でも……!
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廊下に出ると階段を降りる人影が見えた。
目を細めると、ぼんやりとだが椿さんだと分かる。
下になんの用だろう、トイレなら二階にもあるのに。
用心して聞き耳を立てると、足音は玄関の方へ向かうのが分かる。
こんな時間に外に行くの?
僕は悪いと思いながらも、後をつけることにした。
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音を立てないように注意してドアを閉め、つかず離れず椿さんを追うと、辿り着いたのは蔵だった。
椿さんは周囲を気にした後、慎重に扉を開き、中に入る。
僕もしばらく回りの様子を確認し、少し間を置いてから蔵に向う。
しかし、蔵の中に椿さんの姿は見えない。
内部は確かに広いのだが、人間一人を見失う程ではないし、何処かに隠れられる時間があっただろうか?
「そこにいるのは誰?」
いきなり目の前に白い円が出る。振り返ると誰かが僕にライトを向けていた。
「……君は、真琴君?」
姿こそタンクトップに短パン姿だけど、高圧的な声は理恵さんのものだった。
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「私の部屋は階段のすぐ側よ? 誰かが降りてきたらすぐ分かるわ」
慎重に降りたつもりが、ばっちり見つかっていたわけだ。
「それで、こんな時間に何をしていたの? まさかカクレンボじゃないわよね」
「椿さんが外に行こうとしていましたから、気になって……」
「ふーん、でもそれだけじゃないでしょ? ……まあいいわ、聞かないでおいてあげる。でも、私も椿さんが出て行くのは見たし、気になるわね……探しましょう。私は二階を調べるから、真琴君は一階をお願い」
理恵さんがライトを受け取り、僕も捜索を開始する。
蔵の中は日中も日が差すわけではないし、夜でもライトがあれば昼間とそんなに大差は無い。
ここには何かあると思う。椿さんが消えたのもそうだけど、一番の理由は風。どうも入り口以外からも吹いてきている。
「キャー!」
二階から理恵さんの声、何かあったのかな? 僕は階段を駆け上がる。