僕とあたしの夏の事件慕? 第二話 「真夜中のカクレンボ」-3
「まあね」
こともなげに言うけど、一体どれほどの心労を梓は抱えているのだろう。お父さんの死に無神経な親族。もしかしたら、気を紛らわせる為にあたし達を呼んだのかとも思えてくる。なら少しは優しく接してあげるべきかしら? ここは一つあたしの自慢の笑顔で元気付けて上げないと!
「何? その顔」
対し梓はシラっとした半眼を返す。
「何って、スマイルよ、スマイル」
これでも定評が有るんだから。
「澪のスマイルなんか見せられたって嬉しくないわよ」
「失礼しちゃうわ!」
梓がつまらなさそうに頬杖をつくので、あたしもそっぽを向く。
「……」
「…………」
「………………」
訪れた沈黙。一人なら平気だけど、二人だと落ち着かない。
んー、何故だろう……馴れないっていうか、足りない……真琴がいないから? そういえば梓と二人というのは無かった。いつも真琴がいると梓も来てたし。
「……ねえ、澪と真琴君……どんな関係なの?」
「へ?」
いきなり何を言い出すのかと思えば真琴のこと? 今は遺言書を探す事の方が先決じゃないの?
「どうなのよ!」
梓はちょっと怒ったよう眉を尖らせるけど全然怖くない……っていうか、可愛いぐらい。
「どうって言われても、あいつはただの幼馴染で、それ以上じゃなくて、っていうか、『弟』って感じなのよね」
「そ、そう、ならいいわ……」
そういう梓は顔が耳まで赤い。これってもしかして……。
「……梓、真琴のこと好きなの?」
あたしは好奇心を抑えることが出来ず、聞いてみた。
「そ、そんなんじゃないわよ! ただ、ちょっと気になったから……その……」
「それなら、真琴とあたしがどういう関係だって、別に問題ないんじゃない?」
「い、いいじゃない、別に……」
わかりやすい態度を見せてくれる梓にあたしは笑いを堪えるのが必死。だって、梓は真琴が好きなんだもん!