僕とあたしの夏の事件慕? 第二話 「真夜中のカクレンボ」-12
「や、だめ、やめてよ……」
口腔内で行われる執拗な吸い付けを阻もうと、理恵さんの顔を押し退けるために手を突き出す。
「……んもう、悪い子にはお仕置きするわよ!」
「イッ!」
過敏になった亀頭に歯が立てられ、鋭い痛みが弾けるように全身に飛び散る。その純粋な痛みだけのお仕置きに、僕の手も抵抗をやめざるをえない。
その間も理恵さんの口腔内では萎んでいく陰茎が執拗に吸われ続け、その都度、僕は後頭部を壁に押し付ける。
「……んんぅっ……んごくっ……はぁはぁ、ごちそうさま……」
理恵さんは何かを飲み込むと、ようやく口を離してくれた。
「お・ま・け……チュッ!」
暴力的に僕を辱めた唇は去り際まで略奪を続け、僕の間抜けな「あふぅ!」というかぼそい悲鳴も奪っていった。
「ウフフ……美味しかった、真琴君の精液……」
「精液って、これが射精……僕、射精したんだ……」
快感の波が納まると何処か寂しく、不安に似た気持ちに囚われる。
「ふーん……真琴君、射精したこと無かったの……じゃあさ、初めてついでに、初エッチもしたくない?」
いつの間にか目の前に理恵さんの顔があった。
天窓から差し込む、月明かりに映し出されたその顔はやっぱり綺麗だ。
あの小さな唇、ワインレッドのルージュがよく似合う唇に僕は飲み込まれた。
やっぱり怖い人だよ、理恵さん……。
「初エッチって、そんなのダメです……」
「ウフフ、冗談よ……いくらなんでも童貞まで奪っちゃたら、彼女さんに悪いしね」
理恵さんは起き上がり服を整える。僕もそれに倣い、急いでズボンを履く。
「分かっていると思うけど、今日の事は二人の秘密よ、いい?」
「誰にも話せませんよ!」
焦って声がうわずるけど、理恵さんは笑っている。またからかわれたのかな?
「……でも、私としたくなったら言ってね? お姉さんがしっかり食べてあ・げ・
る」
僕の横顔にふっと息を吹きかけ、さっさと蔵を後にする理恵さん。
冗談……ですよね?
続く