崩壊〜親密〜-6
「…この炎症の具合だけど、見た感じじゃ粘膜の最表面みたいなの。今日の検査結果が出ればハッキリするんだけど、まず問題ないとみて間違い無いわ」
「本当ですか!良かった〜」
聞かされた結論に仁志は安堵の表情を見せた。が、話はそこで終わりではなかった。
「但し!これから、しばらくは定期的に検査を受けなさい」
「て、定期検査って?」
「昼間言ったでしょう。ガンなどに変化する場合が有るの。だから、年に1〜2回、問題無いか診てもらいなさい」
「それって…いつまで」
「そうね…4〜5年も続ければ良いんじゃない」
「し、4、5年って…」
仁志は、気持ちが一気に萎えていくのを感じた。
「嘘〜っ!これっきりだと思ったのにィ〜」
がっくりと肩を落とすのを見つめる涼子の目が熱を帯る。
「そんなこと言って、本当はオシリに入れられて喜んでたじゃない」
「じ、冗談じゃ!」
「アラッ?この前も昼間も、前をあんなに硬くしといて」
先ほどと同じような、いたずらっぽい顔を向ける涼子。だが、その眼差しは冷ややかだ。
一部始終を知っている涼子の言葉に、仁志は口をつぐむ。そして、次に出たのは意外なことだった。
「…オレって、異常なんですかね?」
俯き、そう語った仁志は目を赤くして唇を噛んでいる。
「…涼子さんに指を入れられて…あんまり気持ち良くて…昼間も、その事考えてたら…」
(しまった。やり過ぎた…)
涼子は心の中で天を仰いだ。いたずらが過ぎたようだ。無垢な心を傷つけてしまった。
「…あのね、アレって正常な反応なのよ」
なんとか宥めようとフォローする。
「男の人にはね、前立腺って器官があって、直腸の壁を通してそこを刺激すると快感を得られるの」
「…それ、本当ですか?」
「本当よォ」
涼子は、再びパソコンを操作して画像を写すと指差した。
「分からないと思うけど、この辺の奥に有るのよ」
ようやくフォローが効いたのか、仁志の顔に少し笑みが戻った。
「女性にもGス〇ットって同じような性感帯が有るの。だから一部の男性愛者などからドライス〇ットって呼ばれてるわ」
「ドライス〇ット…?」
「そう。射精せずに何度も絶頂に達するんだって」
仁志は性的な好奇心から疑問をぶつける。涼子も段々、興奮してきた。
「…でも、この間は…」
「アレは、仁志くんが初めて刺激を受けて堪え切れなかったからよ」
「それが女性にも有るんですかァ…」
「仁志くん、手を貸して」
「エッ?」
「だから、手を出して」
仁志は、おもむろに右手を差し出した。すると、涼子は傍にすり寄り右手を取る。