僕とあたしの夏の事件慕? 第一話 「お金持ちは色々タイヘン!」-5
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玄関をくぐると白を基調とした内装が僕らを出迎えた。
今時間、あまり日も差さないけれど、対称に設置されたランプの照明が優しい光で室内を照らしている。
「……ワシは椿君達のことを思って……」
「……真二叔父様の手を煩わせるほどのことなどありません。今週はただ、別荘に涼みに来ただけですわ……」
「……君達の後見人として、ワシは……」
二階から誰かの声が聞こえてきた。片方は中年男性の声で、もう一つは若い女性の声。ただ、ところどころ拾えた言葉から推測するに、あまり和やかな会話ではなさそう。
「またアイツが来てる」
梓さんは顔をしかめると階段を駆け上がる。一方、僕らは荷物を持って待ちぼうけ。
「どうしよう? 澪」
「うーん、勝手に入るのも悪いし、かといってここにいてもしょうがないし……」
しばらく顔を見合わせていると、左の部屋の扉が開く。
深緑のワンピースと白いエプロン姿、清潔に切りそろえられた髪を地味なカチューシャで留めている。その恰好からこの人がお手伝いさんだと分かる。
「あら、お客様でしたか」
笑顔で迎えてくれるお手伝いさんを僕は素直に美人だと思った。
縁の無い眼鏡と優しそうな垂れ目、色白な肌に薄いピンクの口紅が良く映えている。
だけど、一番の特徴はスタイル。ソフトボールを二つ並べたようなボリュームのある胸に細くくびれたウエスト。エプロンで見えないけど、形の良いオシリも想像できる。
「はい、梓さんの友達で……」
「それではこちらへ。お荷物は後でお運び致しますので、どうぞそのままで……」
本当はもっと見惚れていたかったけど、後ろの人が急かすので案内されるまま玄関を後にする。