僕とあたしの夏の事件慕? 第一話 「お金持ちは色々タイヘン!」-3
◆――葉月真琴――◆
僕達はタクシーに乗って真澄家の別荘に向かっている。迎えに来るはずだったお手伝いさんが急なお客の対応に追われ、来られなくなったらしい。
それ自体は問題ないんだけど、何故か僕は二人に挟まれた形で座っている。傍目には羨ましいことだろうけど、ゼンゼン嬉しくない。だって二人とも目付きがすごく険しいし……。
「そうだ梓さん、僕に頼みたい事って何ですか?」
本当はそんなに気にしていたわけじゃないけど、それでも空気を変えるきっかけになればと思って話題をふる。
「うん、真琴君にある物を探してもらいたいの」
「そんなのお手伝いさんにでも頼めばいいじゃない、わざわざ人を呼んでまですることかしら?」
澪は相変わらず不機嫌なままだけど、あからさま過ぎじゃないかな?
僕は二人にもっと仲良くしてほしいんだけど。
「それが……そうもいかないのよ、あんまり信用できない人だし……」
俯く梓さんは今まで見たことないくらい悲しそうになる。澪もその気配を察してか、言葉を飲み込んでくれる。
「じゃあ、僕がんばってそれを探しだします。そしたら三人で何処かに遊びに行こうよ。海はなくても山があるんだし、ハイキングとか!」
「そうね、真琴の言うとおりだわ……仕方ないからあたしも協力したげる」
澪は照れ隠しなのかそっぽを向いたまま。
澪は意地っ張りだけど、根は優しいと思う。
「うん。ありがとね、真琴君、澪……」
これで安心かな?