僕とあたしの夏の事件慕? 第一話 「お金持ちは色々タイヘン!」-14
「……えっと、僕が?」
聞くまでもないか、二人の視線は僕に向いているのだし。
「真琴君、お願いね」
梓さんに言われ、僕はしぶしぶテーブルにのぼりライトを調べる……が、届かない。仕方なく椅子をのっけて再挑戦……今度は届いた。
「どう真琴君、なにかありそう?」
「何も……ないみたい」
それでも埃は溜まっているらしく、少し触っただけで勢いよく舞い上がる。
「うわぁ!」
僕は驚いて体勢を崩してしまった。床はフローリング、当たればきっと痛い……こんなことなら柔道の時間、真面目に受身の練習をすればよかった。
余計なことを考えながらも、覚悟して目を瞑る。
次の瞬間、背中と膝の裏に衝撃が走る! でも思ったより痛くない? ……っていうか、全然痛くない。
「ふうー、間一髪ってやつだな」
目を開けると知らない男の人に抱えられていた。かなりがっしりしていてるけど、爽やかなスポーツマンといった人だ。
「あ、ありがとうございます」
「お嬢ちゃん、あんまりヤンチャするなよ」
オジョウチャン? その言葉の意味が一瞬わからなかった。
「僕は男です!」
「え、そうなの? そりゃ残念だ」
その人は心底残念そうに僕を降ろす。さすがに男をお姫様抱っこする趣味は無いらしい。というか、僕も男の人に抱っこされたいなんていう趣味は無い。