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僕とあたしの夏の事件慕?
【幼馴染 官能小説】

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僕とあたしの夏の事件慕? 第一話 「お金持ちは色々タイヘン!」-11

「……何よ?」



「あの蔵何かあるよ。ごく最近、誰かの入った跡がある……」



「へぇー、でも愛美さんかもしれないよ? 掃除とかあるんだろうし」



「それならクモの巣を残しておかないよ」



 言われてみればそうだけど、となると既に誰かが蔵を調べたっていうの? じゃあ遺言書も既に見つけられちゃってるかも……?



「遺言書はまだ見つかってないと思う」



 たまに真琴はあたしの頭の中の疑問に答える。訳を尋ねるといつも笑って『澪のことなら何でもわかる』と言う。逆にあたしは真琴のことは分からない。なんか不公平。



「ほらー、二人とも置いていくよー」



 痺れを切らした梓があたし達を急き立てる。



「待ってよ、梓さん」



 そう言って走り出す真琴はやっぱり何も考えていないようにしか見えないのにな……。



***―――***―――***



 別荘の一階は玄関から入って左手に食堂、向かいに書斎とトイレとお風呂場、右手に応接間があった。

 二階は当主の間と客室が五つに、使用人部屋が一つ。どうやら愛美さんは別荘滞在中、住み込みで働くみたい。

 各客室にはベランダに出るためのドアと、黄色いレースのカーテンの掛かった小さな窓があり、日当たりは悪くない。

 家具はベッドとテーブルと椅子があるだけで、ホテルの一室と比べ、かなり見劣りする。もっとも個人の別荘であることを考えれば充分なものかもしれない。



「香川様のお荷物、ここでよろしいでしょうか?」



 入り口には愛美さんがあたしの荷物を持って待機している。



「す、スイマセン、そこでよろしいのです。ありがとうございました」



 お手伝いさんとわかっていても、そういうサービスになれていない平民なあたしは、咄嗟におかしな敬語で対応してしまう。


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