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ストーカー
【サイコ その他小説】

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ストーカー-5




今更引き返すわけにもいかず、美由紀からの被害を覚悟した上で結婚式に臨むつもりだった。しかし、それは秀次たった一人の意見だ。もしそこで彼女が嫌だと言えば結婚は諦め、次に見送る。それでもいずれは結婚できることだろうから、そこまで心配することはない。
そう思った秀次は、美咲に意見を聞いた。すると、美咲はあっさりとこう答えた。
『そんなのいたずらでしょ?無視した方がいいよ。それより早く結婚したいもの。』
だよな、と心の中で思い、ホッとした自分がいた。その言葉を聞いたことで、安心した。しかし、再びあの手紙を見ることで、どんよりとした気持ちに引き戻されてしまうのだった 。
ゆっくりと封を切り、中身をとりだす。今回はやけにでかい字で一言だけのようだった。
「結婚するな!!殺すぞ!!」
いままで無かった、殺す、というフレーズがどでかく書かれていることで、秀次は初めて恐怖を感じた。
奴が殺す、と言うことは確実に何かしでかすに違いない。確実に危険性は高まっていた。
しかし、秀次はあることに気がついた。美由紀が結婚式のことを知っていることは紛れもない事実だが、明日の結婚式を遂行したかしないかはわかりはしないはずだ、と。なぜなら美由紀に友達などいないはずなのだから。
そうとなれば、みんなにメールを回せばすむ話。早速秀次は皆にメールを回した。そして、美咲にもこのことを伝え、メールを回してもらうよう頼んだ。
これで一段落着いた秀次は、ベッドに横たわり深呼吸をした。久しぶりにゆっくりした気がしていた。なぜなのか、ここ最近美由紀のせいでどうも落ち着かない日々を送っている。そんなことを考えるだけで頭に血が上る。なぜ奴にここまで遊ばれているのだ。
“ヴィーン”とバイブ音が響き、体に振動が伝わった。ポケットに手をつっこみ、携帯を取り出す。携帯のサブ待ち受けに“新着メール”と表示されたのを見て、片手で携帯を開いた。相手は中学校の同級生、孝弘だった。
「美咲ってあの朝永美由紀か?なんで今更あいつに言っちゃダメなんだよ。あいつ今は何も関係してねえだろ。」
説明するのが凄くめんどくさくなった秀次は、そのメールを無視し気付けば深い眠りについていた。
次に目を開いたのは夜の十時半だった。俺はどれくらいの時間寝ていたんだろう、と思うと同時に寝すぎだ、と直感で思った。
階段を駆け下りてリビングへ向かうと、美咲がソファーに座り込みテレビを見つめていた。その視線の先には拳銃を持った男が息を殺して身を潜めていた。すると次の瞬間、足下を何者かにとられそのまま引きずられていった。そのすぐ後に、【To Be Continue】と現れた。
そのとき思いっきり大声を張り上げて美咲の前へ飛び出た。すると、美咲はカッと目を見開いてヒューっと横倒れになった。
『ビックリした〜!!』
息を吐きながらそう言った。秀次はアハハと笑いながら再び二階へ戻った。


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