見返りは君でイタダキマス-7
「マジだよ。マジじゃなきゃあんなコトできない」
「本当なんだ…うっわあ〜ヤバい嬉しい」
さっきと変わって楓の方が仔犬っぽい。
全身で『嬉しい嬉しい』が伝わってくる。
ぎゅうぎゅう抱き締められるのが少し痛くてすごく幸せ。
幸せだ。
こんなに誰かを欲しいなんて――もう思えない気がする。
「あー…ホントやっとだよ」
「………そんなに?」
「…まぁ、…結構経つ、かな。本ッ当にやっとだよ……こっちから言ったって相手されないのわかってたし」
図星……、かも。
「だからずっと決めてた。優しくいようって。ミカに辛いときでも思い出してもらえるようになろうって。あー…しんどかった」
「……ごめん、ね」
確かに好きな相手から惚気られたり泣きつかれたり……どれだけ楓は待っててくれたんだろう
報われるかわからない私にたくさんの優しさを与えるばかりで
「ごめんはいらない」
「……ありがと」
「よし」
俺が優しくしたかったからいいんだよ
その囁きに私がどれだけ優しくあたたかく思われてるか、つまってるのがわかって胸がじわーっととけたみたいに熱くなる。
「本当に、ありがとう。もう、それしか言えないけど、…ありがと」
「……お礼くれる?」
笑って頷くと、ちょっと目をそらして、また目を合わせて……あぁ、まっすぐな目をしてるなぁ
「ミカの未来、ちょうだい?」
なんて可愛いこと言うんだろ
「もし少しでも迷うなら、三年の間は……誰とも結婚しないでいて」
バカだなあ
この子は、楓は…まっすぐでナマイキで、いつも私に優しくいようとしてくれる、大好きな人。
「しないよ。しない……楓じゃなきゃ、もうダメだもん」
「ありがと、ミカ」
約束の契りのように、唇に触れられた。
きっと乾ききってカサカサなんだろうな――。
少し伏せた顔に覗きこまれるように顔が近づいて、――重なる。
乾いたの唇は、小さな音をたてて擦れ、少し痛かったし…ただ触れるだけ。
けれど、気持ちは何より満たされた。
「あげる。私のこれから全部、楓のものだよ」
離れるのは少しのこと、すぐにささやきを口移しした。