粉雪〜君のためにできること〜-3
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雪は、止みそうにない。
未だ寒さを忘れたかのような彼女を見ていられず、外に出た。
顔がピリッとした痛みに包まれる。
「どうしたんだよ?」
仕事以外で話しかけたのは、彼女を無視して以来だった。
「ごめん」
「…何が?」
視線は、合わない。微妙な緊張感が漂う。
僕は隣に立って、彼女に積もった雪をはらった。
視線が、雪から僕に移る。
「藤村さんって、あったかいね」
泣きそうな顔で少しだけ笑った。
これからまた、君を傷つけることもあるだろう。
困らせて泣かせることもあるだろう。
それでも、一緒にいるよ。
そしたら君は寒くないだろ?
いつまで雪を見てたって、風邪をひくことはないだろ?
僕は黙って彼女の髪をなでる。
積もった雪を溶かすように。
寂しい心が潤うように─。
終